我が国には「外国人にも日本の医療システムを開放せよ…」と主張する人達がいます。
厄介なことに、外国人向けの医療ビジネスで一儲けしたい、と考えている国賊的な医療法人さえあります。
今から6年前にも、川崎市において「外国人医療ツーリズムを手掛けたい」という医療法人が現れました。
そのときは川崎市も半ば乗り気で、特に当時の厚労政務次官(自民党の国会議員)が誘致に動いておりました。
当時私は、川崎市の医療行政を所管する「健康福祉委員会」という常任委員会に属しておりましたので、委員会の場でただ一人、徹底して反対の論陣をはりました。
当初の計画によれば、川崎市内で外国人医療ツーリズムを手掛ける医療法人に対し、なんと100床の病床を与えることになっていたのですが、限られた病床は日本国民たる川崎市民にとって貴重な医療資源です。
それをなぜ、医療目的で旅行にくる外国人に捧げなければならないのか。
外国人といっても、結局はその多くが中国人であることは明らかでした。
ご存じない方もおられると思われますので申し上げますが、病床の数は医療法によって地域ごとに上限が定められており、川崎市や民間病院が勝手に病床を増やすことはできません。
むろん、それは安価で質の高い医療システムを維持するために必要な規制です。
よって、もし100床の病床が外国人向けに奪われてしまえば、その分、市内に医療難民が発生することになります。
要するに医療ツーリズムは「ビジネス医療のために国民の貴重な病床を差し出せ!」と言っているに等しく、いわゆるグローバリズムを前提にしたビジネスモデルなのです。
ご承知のとおり、アフターコロナ時代はグローバリズムそのものが見直されている時代です。
そもそもグローバリズム自体が「平時」を前提としたもので、いよいよもって人手(医療人材)が不足し、社会全体として不確実性が高まっている時代、そのような悠長なことを行う余裕などありません。
当時の川崎市議会の会議録を読んでいただければ有り難いですが、委員会で徹底抗戦した甲斐あって、幸いにしてこの計画はいったん凍結となりました。
その後、コロナ・パンデミックが発生し、コロナ病床を確保するために病床逼迫が社会問題化しましたが、それでもコロナ病床の4割を支えたのは市立3病院の病床でした。
もしも外国人医療ツーリズムのために100床が奪われていたなら、事態はもっと深刻化していたことでしょう。
ところが、破廉恥なスキャンダルで名を馳せた神奈川県の黒岩知事が、例によって「中国5千年の伝統医学の未病(ME-BYO)」なる怪しげな健康政策の一環として、外国人向けの医療ビジネスを構築しようとしているらしい。
羽田に来る外国人旅行客をターゲットに健診機関を設置し、必要に応じて神奈川県内の民間病院で治療するという仕組みを考えているようです。(なぜかメディアは報道しない)
黒岩は「日本の保険は使わない…」としていますが、ご承知のとおり、石破内閣(岩屋外相)は、中国人向けの10年ビザを新設し、65歳以上の中国人に限り、在職証明書の提出を不要にするなどの措置を北京と約束しています。
最初は「日本の保険を使わない…」と言っても、やがては「一部には適応…」などとなり、徐々に規制が破られていくのは目に見えています。
国会議員たちには期待できない以上、まずは神奈川県議会の良識に縋るほかない。