米国のトランプ新大統領の就任式が日本時間の本日(21日)の午前3時ごろに終わりました。
今回の就任式は、零下10度という寒さを理由に屋内(議事堂内)での開催となりました。
むろん寒さもあったのでしょうけど、やはり狙撃対策の面が大きかったのではないかと思われます。
途中で音楽が止まった程度で、テロ的な異変もなく就任式は無事に挙行されました。
さて、注目されたトランプ新大統領の演説は、まことに興味深いものでした。
最初は淡々と語りかけるようにして、ありきたりな御礼からはじまったのですが、徐々にトランプ節が高まっていきました。
トランプ新大統領はまず、例によって米国を第一に考えることを強調しつつ、危機に直面した米国国民が政府から受けるべき安全保障サービスを受けられていない現状への怒りを顕にしました。
これは例えば不法移民による犯罪の被害者、あるいはハリケーンや山火事などの自然災害等の被災者たちが蔑ろにされていることを指しています。
つまりトランプ新大統領は「現在の米国政府は、緊急時に基本的なサービスを提供できなくなった」と言っています。
具体的な不法移民対策としては「南部国境に非常事態を宣言し、大統領令に署名する」とし、「米国に対する破滅的な侵略を撃退するため、南部の国境に軍隊を派遣する」と言っています。
なお、教育についても新大統領は、「私たちの教育制度は、子供たちに自分自身を恥じ、多くの場合、私たちが彼らに必死で与えようとしている愛にもかかわらず、私たちの国を憎むことを教える教育制度を持っています。これらすべては今日から変わり、そしてすぐに変わるでしょう。」と述べました。
「自国を憎む教育制度…」といえば、我が日本国のほうが遥かに深刻ですが、おそらくは米国の教育行政もまたリベラリズムの巣窟となってしまったのでしょう。
次いでトランプ新大統領は、「今日から性別は男性と女性の2つだけであることを、米国政府の公式方針とする」と述べました。
要するに、ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)には従わない、と言っていますね。
しかも電気自動車への補助を止め「グリーン・ニューディールも終わらせる…」とも言っています。
SNSの検閲も「大統領令によって禁止する」とも言っていましたので、これには大いに期待したい。
ただし、トランプ新大統領の政策には、効率化省(小さな政府論)に代表されるような新自由主義的な政策も多く見られます。
すなわち、米国を強くする政策と弱くする政策とが混在していますので、この先どうなるのか検討もつきません。
もう一つ、今回の就任式で最も印象的だったのが、トランプ新大統領が就任宣誓の際に左手を聖書の上に置かなかったことです。
歴史上、これは極めて異例なことです。(セオドア・ルーズベルト大統領以来)
要するにトランプ新大統領は、神(God)に合衆国憲法に従うことを約束しなかったことになります。
新大統領は、この先、合衆国憲法を超越した行動をも採らねばならない事態も起こり得ることを想定しているのではないでしょうか。
とにもかくにも、波乱含みです。