デフレ化する中国経済

デフレ化する中国経済

きのう中国国家統計局が、2024年の第4四半期(10〜12月期)のGDPを発表しました。

前年同期比で5.4%増とのことですが、かつて李克強が言ったとおり「中国のGDP統計は信頼できない」。

ここ数年、中国経済が芳しくないのはよく知られているところで、どうやらバブル崩壊後の日本と同じようなパターンに嵌まりつつあるようです。

巨大な不動産バブルが崩壊したわけですが、単に崩壊したのではなく、あまりにも不動産価格が上昇してしまったために、政府が規制をかけて人為的に潰した点もわが国に似ています。

結果、経済の逆流がはじまり、ウクライナ戦争以降、世界中がインフレで大変だと言っているなか、中国だけはデフレ化しつつあるとのことです。

わが国ではデフレとコストプッシュ・インフレが併存していますが、中国では今、「日本病」がキーワードになっているらしい。

むろん、日本国民からすると、このような不名誉な病気に名前を付けてほしくはありませんが、先行き不安で消費が伸びず、少子化も進んで若年失業率が上昇していることから、1990年代以降の日本経済と同じ状況だ、と言いたいのでしょう。

因みに中国では、若い人たちがやる気を喪失していることも社会問題化されはじめているようで、例えば、学校にも行かず、仕事もせず、無気力が常態化した、いわゆるニートみたいな若者が増えているという。

中国ではそうした若者のことを「寝そべり族」と呼ぶのだそうです。

さて、これまで中国経済は輸出主導型の成長サイクルにうまく乗っていました。

主な輸出先は米国。

米国の消費者向けの商品をつくって輸出するため、国内の工業が盛んになって発展するという型で成長してきたわけですが、ついにそのサイクルが回らなくなっています。

なにせ、トランプ氏が再び大統領に返り咲いた米国は、「もうこれ以上、中国から物を買わないぞ」と言っています。

考えてみればこの四半世紀、中国が目覚ましい経済成長を成し遂げることができたのは、2001年にWTOに加盟し、グローバル経済の恩恵を受けてきたからです。

グローバリズムが終焉した今、中国経済が頭打ちになるのも当然でしょう。

輸出増が見込めないなか、北京政府は慌てて「内需拡大だぁ」と言っているようですが、バブルの影響もあり、金利を下げたり、公共事業を拡大したりすることができず、身動きの取れない状況にあるようです。