きのう決定した与党税制改正大綱では、課税の最低ライン「103万の壁」が最大の焦点でしたが、「178万円を目指す」という文言を入れつつも、結局は宮沢洋一税調会長や財務省の思惑どおりに「123万円までの引き上げ」で決着しました。
自民党は3党協議の際、「178万円を目指す…」を毛針にして国民民主党に補正予算案を賛成させましたが、むろん毛針は毛針。
「123万円までの引き上げ」で面目を潰された国民民主党が来年度予算案に協力してくれる可能性は低くなりましたので、少数与党の石破政権は予算案の成立が見通せぬまま、来年1月に開かれる通常国会を迎えることになりました。
しかしながら、川崎市議会と同じように、結局は日本維新の会が自民党に手を差しのべることとなり、予算案はなんなく成立し衆議院を通過することになるでしょう。
自民党としては、緊縮財政派の日本維新の会の協力を取り付けることさえできれば、国民民主党の主張する財政支出の拡大政策に耳を傾ける必要がなくなります。
それにつけても、自民党はもはや組織としての体をなしていない。
3党の幹事長同士が国会の場で正式に決定したことを、党幹事長の下部組織である税調会の会長(宮沢洋一)が「(178万円を目指すことは)実に不快だ…」と言って強引に「123万円までの引き上げ」で決着させてしまうわけですから。
自民党は幹事長よりも税調会長のほうが偉いんですね。
宮沢氏のような経済無知が大きな政治力を振るっていること自体が実に不愉快です。
この種の人たち(緊縮財政派)が無知なのは、「政府は税金を徴収せずとも支出が可能な公的機関である」ことを知らないことです。
などと言うと、「えっ?」と思われる方々もおられるでしょうが、現に政府支出は税金を財源として実施されていません。
では、財源は何か?
むろん、国債です。
税金は政府が支出した後に徴収され、国債発行残高の調整が行われているにすぎません。
川崎市などの地方自治体もそうですが、政府(行政)は徴税の前に支出しています。
徴税の前に支出していることから「スペンディング・ファースト(支出が先)」と呼ぶのですが、信じがたいほどにほとんどの国会議員や地方議員、あるいは首長がこのことを理解できていません。
しかしながら、こんなことは東大を卒業しなくてもわかる簡単なことです。
例えば、世界がコロナ・パンデミックに揺れた2020年、各国政府はコロナから国民を守るために財政支出を拡大しました。
わが国においても、一人あたり10万円の特別定額給付金が支給されました。
すべての日本国民に対してです。
その際、「これから定額給付金を支給しますので、その前に皆さんから税金を徴収しまーす」なんてやっていません。
日本政府はもちろん各国の政府は、単に国債を発行し、国民を救うための予算を組み、支出しただけです。
それで何か問題でも?
日本政府は破綻していませんし、ただただ国民の所得が増えただけです。
政府が国債を発行して支出すると国民の貯蓄が増えるのは当然のことであり、「政府が国債を発行すると国民の預貯金が減るぅ〜」などと言っている人たちは大の嘘つきか、よほどのお〇〇さんのどちらかです。
詰まるところ、宮沢税調会長ら緊縮至上主義者たちは、国民の所得が増えること自体が許せない人たちなのでございます。
そんな人たちに国政を預けていいのか…