きょう12月20日、与党税制改正大綱が決定されます。
いわゆる「103万円の壁」の引き上げについては、自公が国民民主党との3党協議で約束した「178万円を目指して引き上げる」ことを蔑ろにし、「物価上昇分の引き上げ程度で…」と誤魔化しにかかっています。
その誤魔化し金額が「123万円」です。
国民民主党との協議再開のめどはたっていないため、この金額で決定される見込みです。
当該ブログでは何度も申し上げていますが、そもそも103万を上限にした根拠は「当時(1995年)の最低賃金」にありました。
1995年の最低賃金は611円。
所定労働時間を7時間、所定労働日数を年間241日とすると、年間所得は103万757円になります。
611☓7☓241=1,030,757
その端数を切って103万円となったのは明らかです。
最低賃金は、すべての国民が「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保証する(憲法25条)ための必要最小限の賃金ということです。
ゆえに103万円が憲法25条の生存権を保証するために必要最小限な年間所得であることとなり、そこに税金を課してはならないということから算出された金額です。
今日、最低賃金は1,055円にまで上がりました。
1,055☓7☓241=1,779,785≒178万円
これが、国民民主党が主張する178万円の算定根拠です。
憲法25条が保証する生存権の観点から「年間所得178万円までは税を課してはならない!」と。
要するに、103万円という金額を決定したとき、政府(財務省)は「最低賃金」を算定根拠にしていたはずなのに、引き上げに際しては「物価上昇率」を算定根拠にしてきたわけです。
ご都合主義の「Wスタンダード」とはまさにこのことです。
こういう事態が予想されていたからこそ、私は川崎市議会で「国に控除額の引き上げを求める意見書案」を自治法99条に基づき提案したわけです。
それなのに「既に国で話が進んでいるから…」という理由をもちだして反対した自民党の市議さえいました。
123万円までの引き上げで誤魔化そうとしている与党議員らはみな、国民経済を平然と無視する輩であり、財務省の手先だと思っていい。
もしも私が国会議員なら、基礎控除額(103万円)を算定した計算式を示す当時の公文書を政府に要求しますが、当然のことながら公文書の保存期限が既に切れているのでしょう。(保存期間は基本5年)
ここに、わが国の公文書管理の大きな問題があります。
結局、自民党はめんどうな国民民主党との協力関係を解消し、緊縮財政思想を共有できる「維新の会」との距離を縮めつつあるようです。
これって、まったく現在の川崎市議会の状況と同様です。
せっかく真っ当な意見書案や改革案が議会で提案されているのに、それに抵抗する自民党を「維新の会」が手を貸し、ブチ壊す。
維新を名乗る勢力が幕府を助ける、という不思議な構図です。