あなたはヤブ医者に自分の手術を託しますか?

あなたはヤブ医者に自分の手術を託しますか?

10月8日に発表された8月の『家計調査』によると、2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり297,487円で、物価変動を除いた実質で前年同月比1.9%減少しました。

上のグラフのとおり時系列で見ますと、昨年2月以降でプラスに転じたのは今年の4月(+0.5)と7月(+0.1)だけで、あとは見事なまでの落ち込み具合です。

とりわけ品目別では、光熱費、家具などの耐久消費財、子供用の服、交通費、自動車関係費、教育費、室内の修繕費等々の落ち込みが酷く、ほか食料品では果物の消費が減りました。

ちなみに、実質消費を指数で見ますと、2020年を「100」とした場合、ことし8月は「98.0」ですが、2000年末の段階ではまだ「123.0」もありました。

2000年といえば、我が国がデフレに突入して3年が経ったころですが、そのころよりも国民生活が明らかに貧困化していることがわかります。

何より恐るべきことは、この「国民の貧困化を政治家やマスコミが全くもって問題視しないことです。

度重なり北朝鮮から発射されるミサイルに慣れてしまったかのように、我が国の政治もまた「貧困化」に慣れてしまったかのようです。

というか、もしかすると「実質消費」の意味さえ理解できていない国会議員が大半ではなかろうか。

議員と呼ばれる者たちもそうですが、行政関係者にも「GDP」さえ理解していない人は少なくありません。

市議会という公の場で職員に恥をかかせるわけにはいかないので、私は事前の答弁調整がない委員会などでは「GDPとは何ですか?」という質問をしたことはありません。

おそらく、100%答えられないからです。

ゆえにいつも私は、職員がGDPを理解されている、という前提で質問をしています。

でも、たいていの場合、ピントのずれた答弁が返ってくるので、「ああ、やっぱり理解してないなぁ」と思いつつ、次の質問に移ります。

(川崎市役所の職員の皆様、私だって意外にも遠慮しながら質問させて頂いてるんですよ…)

ただやはり、政治行政に携わる者にとっては、少なくとも「貨幣とは何か」「GDPとは何か」「租税とは何か」の理解は最低限の必須条件です。

考えてみてください。

例えば、お医者さんが「細胞とは何か」「血液とは何か」「免疫とは何か」を理解していなかったら大変なことです。

もしも、そのような医者が大半だったなら、我が国の医療などとっくに崩壊しています。

そのあり得ないことが、政治行政では現実に起こっています。

先日も石破総理が記者会見で、いつもの芝居がかったゆっくりとした口調で「インフレから脱却しなければならない…」と誇らしげに語っていました。

まこと、唖然するほかないのですが…

あのですね。

インフレは抑制するものであって、脱却するものではないんですよ。

そもそも、経済成長とはインフレ(デマンドプル・インフレ)率と実質賃金が相乗的に上昇していく経済のことです。

インフレを脱却したらデフレになっちゃうし、というか既に27年間、我が国はデフレで苦しんでいるんですよ、総理!

おそらく、石破総理はインフレにはデマンドプル型とコストプッシュ型の二種類があることも知らないのでしょう。

そんなヤブ医者に、日本の手術をさせて大丈夫か…

ちなみに、もともと「ヤブ医者」は名医を指す言葉だったらしいのですが、いつの頃からか「下手くそな医者」がそう呼ばれるそうになったそうです。