特別養護老人ホームや認可保育園などを運営する社会福祉法人「母子育成会」の前理事長が、2002年以降、約8億4690万円を私的に流用していた問題が発覚したのは今年の5月のことでした。
私的流用された約8億4690万円という金額は、とりあえず確認されている数字であり、実際にはもっと多いらしい。
なかには「20億円を超えるのではないか」と推測する関係者さえおられます。
当該法人に対して毎年多額の補助金を支出している川崎市としても、その監督責任が問われるところですが、私が6月の川崎市議会(一般質問)で議会質問をしたところ、その監査の杜撰さ、また当該法人が運営する9施設のうち、なんと8施設において、本市所有の公有地が長期間にわたり無償で貸与されていたことが明らかになりました。
8億円以上もの横領ができるほどに経営基盤は安定していたのに、どうして無償貸与なのか。
市内には、民間の土地を有償で購入したり借り上げたりして運営されている法人がたくさんありますので、そうした法人との公平性も問われます。
すかさず私は、川崎市に対して本市が所有する公有地を無償で貸与している福祉関連施設の実態調査を要望しました。
そして昨日(10月4日)の川崎市議会(決算審査特別委員会・総括質疑)でその実態が明らかになりました。
ここで言う福祉関連施設とは、「生活保護法」「児童福祉法」「老人福祉法」 「障害者総合支援法」に基づく施設ですが、当局の答弁によれば、本市所有の土地を無償貸与されている件数は、なんと445施設もありました。
内訳は、生活保護法に基づくものが1施設、児童福祉法に基づくものが127施設、老人福祉法に基づくものが214施設、障害者総合支援法に基づくものが103施設で、合計445施設です。
この445という数字を、多いと見るべきか、少ないとみるべきか。
そこで私は全国の政令指定都市に調査を依頼し、それぞれの政令指定都市における福祉関連施設への市有地無償貸与の実態を知ることができました。
それを人口比で比較したものが、上のグラフです。
ご覧のとおり、川崎市だけが平均値の8.2倍、2位の仙台市の4.4倍という異様なほどに突出していることが分かります。
問題は、これが何を意味しているのか、です。
実は平均値を上回っている4つの都市には、ある共通点があります。
それを調べていくと、なぜ川崎市だけが全国の政令指定都市の中で突出して多いのかが見えてきます。
昨日の質疑で私は、その仮説を披露したわけです。