GDP、再びマイナス成長へ

GDP、再びマイナス成長へ

今朝、内閣府から21年Q1(1〜3月期)の国内総生産(GDP)が発表されました。

物価変動の影響を除いた実質値のGDPは、前期比マイナス1.3%(年率換算でマイナス5.1%)で、3四半期ぶりにマイナスになりました。

麻生財務相は記者会見で、とりわけ個人消費の落ち込みについて言及し「大都市圏を中心に緊急事態宣言が発令されたため外出自粛などで落ちこんでしまった」としていますが、2019年10月に消費税の税率が8%から10%引き上げられたことによる景気低迷については知らん顔をしています。

コロナ自粛による景気低迷以前に、度重なる消費税増税によって景気を落ち込ませた政府の責任は免れない。

なお麻生さんは「ワクチン接種が進めば景気は徐々に回復するだろう」としていますが、相変わらず見通しがあまい。

ワクチン接種が進むことで自粛経済の必要性は失せますが、総需要不足経済は続きます。

アバ・ラーナーが言うように「その国の財やサービスに対する総支出が、供給可能なすべての財を名目価格で購入するより、多くも少くもないような割合を維持すること」が必要です。

総支出がそれを上回ったままだとインフレになり、下回ったままだとデフレとなって失業が発生します。

であるがゆえにラーナーは「需要と供給のバランスをみて財政政策を決定せよ」と言うわけです。

例えワクチン接種が進んだとしても、インフレ率の推移をみるかぎり日本経済はデフレ状態(総需要不足経済)のままであろうかと推察します。

もしもそうであった場合、財政支出の拡大による需要創造政策が求められますが、そのとき、例のプライマリーバランスの黒字化目標がネックになります。

なんと5月14日の経済財政諮問会議では、民間議員が「国と地方のプライマリーバランスを2025年度には黒字化するとの従来目標を堅持すべきだ」と提言したらしい。

彼らは典型的な健全財政主義者です。

健全財政主義にとっての財政赤字は常に悪であり、その経済への影響などは全く問題ではないようです。

しかしながら正しい貨幣観に基づけば、財政赤字それ自体は必ずしも悪ではなく、財政赤字は経済に与える影響、即ち国民所得、物価、雇用などによって評価されるべきです。

おそらく4〜6月のGDP(21年Q2GDP)もマイナスになる公算が大きいがゆえに、一刻も早いプライマリーバランスの破棄と大規模な補正予算を求めます。