世の中は実に腹立たしいニュースで満ち溢れています。
26ヶ月連続で実質賃金が下がり続け国民経済が困窮しているなか、2023年度の国の税収が4年連続で過去最高となるとのことです。
このブログをいつもお読み頂いている皆様にはお解りのことと存じますが、政府部門(中央政府、地方政府)が黒字を増やす(もしくは赤字を減らす)ということは、企業や家計などの民間部門が必ず赤字を増やすことになります。
上のグラフをご覧のとおり、各経済主体の資金過不足を足し合わせると必ずゼロになりますので、どの年度をとっても、積み上げ棒グラフは必ず上下対称になります。
このグラフで言いますと、本来、資金過不足をマイナスにしなければならない経済主体は企業です。
なぜなら企業とは、おカネを借りて投資することにより、生産性を向上させ成長する経済主体だからです。
因みに、企業の資金過不足のマイナスとは、企業の純利益がマイナスになるということではありません。
投資により生み出された資産は減価償却されていきますので、資金過不足がマイナスとなっても企業は利益を上げることができます。
なお、企業がおカネを借りることで、新たな貨幣(預金通貨)が市場に供給されることになります。(内生的貨幣供給理論)
日常、私たちが手にしている現金紙幣は、それらが銀行から引き出されたものです。
企業は景気が良くなると投資を拡大して借り入れを増やします。
借り入れを増やすと銀行預金という貨幣が増えていくために、インフレ率がデマンドプル型で上昇していくわけです。
そして景気があまりにも過熱となってインフレ率が上昇しすぎたときにこそ、緊縮財政や増税によって政府が貨幣を回収するわけです。
そのときはじめて、政府部門の黒字拡大が許されるのでございます。
ところが、上のグラフのとおり、1998年に政府の緊縮財政により日本経済がデフレに突入して以降、企業の資金過不足はマイナスからプラスに転じてしまい、今もなおプラスの状態です。
むろん、デフレという需要不足経済が続いているからです。
需要不足のなかでは「おカネを借りて投資しよう」という企業が増えるはずもない。
ゆえに中央政府や地方自治体などの政府部門こそが資金過不足のマイナスを拡大して、すなわち財政支出を拡大して需要を創出しなければならないのですが、ご承知のとおりマイナスを拡大するどころかプラス化しているわけです。
企業の銀行借り入れの減少によって貨幣(預金通貨)供給が増えないわけですから、それに替わって貨幣を供給できる経済主体は政府(中央政府)のほかにありません。
それが国債発行です。
にもかかわらず、例によって財務省は「国債を発行しなければ予算を編成できない状態にある…」などとメディアを使って喧伝させています。
今朝の日本経済新聞にも、次のような記事がでていました。
「税収が好調でも膨張する歳出をカバーできず、国債といった借金に頼る構図は変わらない。公債依存度は3割前後で高止まりしたままだ。借金漬けから脱却できない財政運営が続いている」(日本経済新聞)
何度でも言います。
国債発行は、通貨発行に過ぎない。
世界をみまわしても、税収だけで政策経費を賄っている国など一つもありません。