健全過ぎる政府財政

健全過ぎる政府財政

OECD(経済協力開発機構)が今年5月に発表した最新の経済見通しによれば、2022年の各国の純利払費(対GDP比)は、上のグラフのとおりです。

純利払費とは、「支払い利子」から「受取り利子」を差し引いたものです。

例えば日本政府は、これまでに発行した国債の利払い費を支払っていますが、その一方で米国債など外国の国債を保有しているため、外国から利子を受け取っています。

その差額が、ネット(純)の利払費です。

これを対GDP比でみるわけです。

先進諸国においては、以前は政府債務(対GDP比)をもって財政健全度の指標としていましたが(PBを財政健全度の指標にしている間抜けな政府は日本だけ)、それでは自国通貨建てで国債を発行している国などはほとんど意味がないので、昨今では純利払費(対GDP比)で比較するようになりました。

我が国の純利払費(対GDP比)は、先進諸国のなかでは2番目に低く、なんと0.28%です。

一番低いカナダに至っては、「支払い利子」よりも「受取り利子」のほうが多いためにマイナスになっています。

アメリカなどは、日本の2倍。

日本の財政破綻論者たちは「日本は国の借金で破綻するぅ〜」と言うけれど、このグラフをみるかぎり、もしも日本が財政破綻するのであれば、アメリカ、イタリア、イギリスなどはとっくに破綻していなければおかしいではないか。

財政破綻論者たちは触れたがりませんが、日本政府はコロナ禍の2019年末から2020年末にかけて、国債発行残高を66.7兆円も増やしました。

一年間で66.7兆円の国債発行残高の増加ですので、これだけで財政赤字はむろん66.7兆円です。

因みに、私が大学1年生(1989年)のころの国債発行残高はたかだか162兆円程度でしたが、それでも「日本は破綻するぅ〜」と言われ、あの忌まわしき消費税が導入されたのです。

66.7÷162=0.41

すなわち、2019年末から2020年末までのたった1年で、1989年の国債発行残高の41%もの額の国債を発行したにもかかわらず、日本政府は今なお財政破綻していないのです。

いったい、いつになったら破綻するのやら…

さらに言えば、日本の純利払費(対GDP)は0.28%となっていますが、日本国債の半分は日銀(日本政府の子会社)が保有していますので、その分を除くと数値は更に半減されます。

信じ難いことかもしれませんが、現在の日本は政府財政が健全過ぎることのほうがむしろ問題なのでございます。

「財政危機」を煽って政府や自治体に緊縮財政や歳出削減を求める人たちの愚かさがよくお解りいただけるものと思います。