実質賃金、21ヶ月連続でマイナス

実質賃金、21ヶ月連続でマイナス

少子化の最大の原因となっている実質賃金の推移をみますと、上のグラフのとおり1997年をピークにしてダダ下がりです。

実質賃金は名目賃金をインフレ率で除したもの。

インフレ率はモノやサービスの価格の変動率。

名目賃金は雇用主から支払われた所得金額のことです。

よって、名目賃金は実質賃金にインフレ率を掛けたものとなります。

ご承知のとおり、働く人の所得の原資は企業の粗利益です。

企業の粗利益は、その企業が生産するモノやサービスの付加価値分の単価に販売個数を掛けたものですので、労働分配率の問題を別にすれば、インフレ率が上がろうが下がろうが、モノやサービスの販売個数が増えさえすれば実質賃金は必ず上がります。

すなわち、実質賃金の下落とは、販売個数の縮小、生産個数の縮小を意味しているわけです。

販売個数(生産個数)が縮小する経済を「デフレ経済」と言います。

為替の影響により食品や原材料などの価格が上昇していることをもって、「日本経済はインフレ…」と誤解されている人たちもおられますが、まちがいなく日本経済は未だデフレの中にあります。

それを証明しているのが、上のグラフです。

一部の食料品や原材料の価格が上がっていますが、輸入物価上昇に伴うコストプッシュ型インフレですので、値上げ分の収入は外国のものです。

ゆえに、賃金の上昇が物価の上昇に追いつくわけもありません。

下のグラフのとおり、実質賃金は21ヶ月連続で前年比マイナスです。

しかも、デフレから脱却できないままに、人手不足が深刻化しています。

日本で生産されるモノやサービスの販売個数を、生産性の向上によって増やすための経済財政政策が求められています。

国会において、このことが真剣に議論されているのかどうか。