今日(12月22日)の午後、岸田内閣は『2024年度予算案』を閣議決定します。
予算規模(一般会計総額)は112兆700億円で、前年度比2兆3,100億円の減となります。
日本経済新聞社あたりは「当初予算は12年ぶりに前年度比で減るけど、社会保障費は37兆7,200億円となり過去最大だ」と強調していますが、例の『骨太方針』によって社会保障費の国費分の自然増額は限定されています。
財務省はこの『骨太の方針』を金科玉条にし、例えば厚労省などが要求してくる予算額をできうるかぎり圧縮しています。
因みに、『骨太の方針2021』の際、社会保障費を除く増額分については、3年で1,000億円(年間約330億円)というキャップ(上限)がはめられ、それが今なお『骨太の方針2023』にも引き継がれているのをご存知でしょうか。
すなわち、社会保障を除く一般会計予算は、わずか0.03%しか増やせないことになっているのです。
わが国の政治において増税議論が絶えないのはそのためです。
一方、テレビ番組のコメンテーターたちは「ようやくコロナも収束しつつあるのだから、予算規模も平時の体制に戻したほうがいい…」などと実に無責任なことを言っていますが、はたして今は「平時」なのでしょうか。
三年に及ぶコロナ禍によって労働力をはじめとする供給力が毀損していたため、未だサプライチェーンの滞りは続いており輸入物価の値上がりは収まっていませんし、世界的な穀倉地帯を主戦場にした露宇戦争も継続中で、イスラエル及び中東情勢だって予断を許さない状況が続いています。
遠い中東での戦争だからといって、日本に何の影響もないとでも思っているのでしょうか。
こうした国際情勢の不安定化が、エネルギー価格と食料価格の高騰を引き起こし、またそのことが供給不足に起因する物価の高騰(コストプッシュ型インフレ)を招いて日本経済と国民生活に大きな打撃を与えているのは明らかです。
だからこそ「今なお有事にある」という認識をもって、相応の経済対策が打てる予算規模を確保しなければならないはずです。
といって、財源確保のための増税など必要ありません。
財源は国債でいい。
インフレ下の財政支出の拡大を、ことのほか恐れる人たちがいますが、コストプッシュ型インフレを抑制するための対策は、基本的にデフレ対策と同じです。
金利上昇リスクは、日銀のECC(イールド・カーブ・コントロール)で完璧に抑制できます。
というか、今は日米の金利差(日本の金利が低すぎること)が批判されているくらいですから、そもそも金利上昇リスクを懸念する必要もないでしょう。
もっか世間を騒がせている自民党の「裏金問題」は、いわば「脱税問題」でもありますので、岸田内閣としてはことさらに「増税」を言いにくくなったのではないでしょうか。