国民負担増のオンパレード

国民負担増のオンパレード

平成から令和へと時代は変わり、はやくも5年が過ぎ去ろうとしていますが、我が国の経済基調は未だ「平成不況」のままです。

因みに、平成不況のはじまりは1991年のバブル経済崩壊ではなく、1997年のデフレ(需要不足経済)突入からです。

その2年前である1995年に村山内閣(武村蔵相)による「財政危機宣言」があり、1997年の橋本内閣から「緊縮財政(財政収支の縮小均衡と国債発行残高の抑制)」が始められたことがきっかけです。

結果、1997年以降、日本経済は総需要が常に不足するデフレ不況に陥り、上のグラフのとおり実質賃金はものの見事に右肩さがりで下降してきました。

実質賃金とは、労働者が実際に受け取った給与(名目賃金)から物価変動分を差し引いた賃金のことです。

額面(名目)の賃金が上昇しても、それ以上の物価上昇率が高ければ、実質賃金は減少します。

また、どんなに物価が下がっても、額面(名目)の賃金がそれ以上に下がってしまえば、やはり実質賃金は減少します。

1997年以降の日本経済は、デフレ経済が続いてきましたので後者のパターンです。

これだけ長期に亘って実質賃金が下落し続けている国は、世界は広いと言えども我が日本国だけです

長期的実質賃金の下落を「国民の貧困化」と言います。

デフレは国民を貧困化するだけでなく、経済成長の源泉たる供給能力(ヒト、モノ、技術)をも毀損してきました。

結果、一部の分野では供給能力喪失型インフレが発生する一方、円安など外的要因による輸入物価高騰にも見舞われています。

給与が上がらないままに一部の分野でインフレが進行しているのですから、一層、実質賃金が押し下がるもの当然です。

国民は苦しんでいます。

なのに今の政治は「税収=財源」という誤った知識の上に立ち、さらなる国民負担(歳出削減と歳入増加)を求めています。

例えば、10月から導入されたインボイス制度は完全なる増税政策でした。

多くの人たちが「インボイス制度は一部の自営業や個人事業主の負担が増えるだけのもの…」と高をくくっていましたが、当該制度の導入によって様々な物価が上昇してしまい、一般消費者に大きな負担を強いています。

あるいは、政府は2037年までの予定だった復興特別所得税をさらに20年程度も引き延ばそうとしていますが、これではほぼ恒久増税です。

また、来年度からは森林環境税が増税され、1世帯あたり1,000円が住民税に上乗せされるのをご存知でしょうか

中国製のソーラーパネルのために森林を切りまくっておきながら…

同じく来年度から、生前贈与(相続税)の3年ルールが7年に引き延ばされますので、これもまた増税となります。

加えて、雇用の流動化を促進することを名目にして退職金控除も見直されそうですし(骨太の方針2023)、国民年金の納付期限も延長されそうです。

厚生年金の支給額などは、既に昨年4月分から原則0.4%の減額となっています。

今後もさらに引き下げられるのは必定です。

岸田内閣及び財務省は「財政収支の縮小均衡」と「国債残高の抑制」のためならば、私たち日本国民が苦しもうがどうなろうが一向にお構いなしのようです。