岸田総理は「増税メガネ…」と揶揄されていることについて、酷く気にされていると聞く。
ここにきて所得税減税をことさらに強調しているのは、そのためのようです。
喫緊の課題である防衛力強化や少子化対策を行うため、岸田内閣が歳出改革を含めたいくつかの増税メニューを用意しているのは周知のとおりです。
用意しているとはいえ、「増税はこれから…」と思ったら大間違いです。
既に岸田内閣は実質的な増税に踏み切っていることを、私たち国民は理解しなければなりません。
事実、今年の4月には社会保険料の値上げが既に為されていますし、労働保険料も引き上げられています。
なにより、10月からはじまったインボイス制度導入は完全なる増税です。
仕事がら、例えば駐車場、タクシー、カフェなどをお使いになられる事業者は、その駐車場やタクシーやカフェがインボイスに対応していない場合、即ち「T」からはじまるインボイス番号のない場合、利用した事業者が消費税2%分を負担しなければなりません。
因みに、こうしたなか、経団連などの経済界は「消費税増税」を提言しているというから正気の沙汰とは思えない。
彼ら彼女らは、多くの国民が苦しんでいる現状を理解できないのでしょうか。
言うまでもありませんが、多くの国民が、給料が上がらないなかで物価だけが上がっていく、いわゆるコストプッシュ型インフレに苦しんでいます。
コストプッシュ型インフレの原因は明らかで、それ即ち「輸入物価の上昇」です。
輸入物価の上昇には、次の二つのケースがあります。
①輸入物価(物品自体)の価格が上昇しているケース
②そこに円安が加わっているケース
その上で、冒頭のグラフを見て頂きたい。
実質賃金(きまって支給する給与)は対前年比で18カ月連続で落ち続けています。
こんな国は他にありません。
仮にあったとしても国民が怒って暴動にならないように、政府が何らかの対応をするものです。
実質賃金が下がるなか、反対側で国民負担ばかりが高まって可処分所得が減っているわけですから、本来は大いに怒らなければおかしい。
日本国民ほど、呑気な国民はいないのかもしれません。
先週の土曜日、日曜日も、芋煮会など各種のイベントに呼ばれましたが、不思議なことに経済への不満を口にする人は一人もおられませんでした。
これでは、政治が変わるはずもない。
コストプッシュ型インフレによって実質賃金は下落しますが、同様に消費税の増税によっても実質賃金は下落しています。
要するに消費税増税というものは、「官製コストプッシュ型インフレ」なのでございます。
この期に及んで消費税増税の必要性を訴えている人たちは「もっと実質賃金を下げろ…」と言っているわけです。
国会議員のなかには「少子化対策の財源確保のために消費税増税が必要だ…」と言っている人たちがいますが、どうやらこの種の人たちは、消費税増税そのものが少子化の原因になっている事実を理解できないらしい。
岸田総理は増税イメージを払拭すべく、所得税減税と非課税世帯への給付金を行うとしていますが、減税を悪とする財務省様の抵抗にどこまで太刀打ちできるか。