アリバイづくりの経済対策

アリバイづくりの経済対策

本日(11月2日)、岸田内閣は経済対策を閣議決定します。

経済対策の規模は、およそ17兆円とのこと。

また、国や地方自治体、半導体への補助金などの民間投資を合わせた事業規模は37.4兆円になるようです。

ご承知のとおり、事業規模の額がそのまま政府の支出額になるわけでありません。

問題は政府が、どれだけ負債を発行し、それを使い切るかです。

補正予算の規模でみますと、一般会計で約13.1兆円とのことですので、2020年度以降の新型コロナウイルス禍での補正予算と比較してもその額は小さい。

昨今では、予算に計上するものの、それを支出せず次会計へ繰り越すことで歳出削減(収支均衡)をはかるケースが増えています。

本当に財務省というのは悪知恵のはたらく官庁です。

さて、気になる減税策は、やはり消費税減税ではなく、所得税の定額(4万円)減税のようです。

所得税の非課税世帯には一律で7万円を給付するらしい。

ここのところ、消費者物価(コアコアCPI)は2.0%を超えていますが、これはサプライロス(供給能力喪失)型のインフレであって、日本経済は未だにデフレの中にあります。

にもかかわらず、岸田総理は所信表明演説で「GDPギャップ(デフレギャップ)が解消に向かう中…」と発言しています。

しかしながら、これは統計上のインチキです。

政府が発表するGDPギャップは、統計項目の定義を恣意的に変更し、その前提となる潜在供給能力が低くなるように算定することでギャップを強引に埋めています。

埋めるどころか、直近ではGDPギャップがプラスになっているほどです。

恣意的な変更とは、一つに「最大概念」の潜在GDPを、「平均概念」の潜在GDPにしたこと。

二つに、コロナ禍で失業した人たちを労働力から排除したことです。

悪質にも、このように供給能力を低く見積もることで、弱い需要であるにもかかわらず「デフレギャップは解消しつつある…」と言い張るわけです。

とはいえ、消費者物価が上昇する一方、賃金の上昇がそれに追いついていないために、実質消費支出は上のグラフのとおり、実に悲惨な状態となっています。

どう考えても、求められているのは消費税減税(もしくは廃止)です。

総理は「増税メガネ」と言われるのが嫌なので、中身はともかくとして、とりあえずは「減税」の実績をつくっておきたいらしい。

総選挙の際、街頭演説中に「増税メガネっ!」と野次られるのがよっぽど嫌なのでしょう。