資本主義における政府は、自ら財源を創造する

資本主義における政府は、自ら財源を創造する

岸田内閣は今日、自民・公明両党の税制調査会長らに対し、所得税減税など家計支援の具体案づくりを正式に指示するとのことです。

検討されている減税策のポイントは以下のとおり。

①一定額を一律で差し引く定額減税を来年の夏ごろに1回限り

②一人あたり所得税3万円、住民税1万円の減額案(扶養家族も同額の方向)

③減税対象にならない低所得者向けには7万円の給付

④規模は減税と給付を合わせて5兆円程度

⑤財源は税収増

⑥これらを11月にもまとめる経済対策に盛り込む

さて、目的が「物価高負担の軽減…」にあるとはいえ、財源が税収増ということですので新たな需要増(貨幣発行)にはならず経済対策とは言い難い。

消費税を減税、もしくは廃止してくれたほうが、よほどの物価高対策であり経済対策です。

「税収増の還元…」と言われると、なんとなく聞こえはいいのですが、要するに新たに国債を発行したくないだけ。

その根底には、例によって「政府の赤字はいけないもの…」という歪んだ思想があるわけです。

例えば、防衛財源を経済成長による税収増で賄うべきだ、という意見もありますが、これも一見ごもっともそうな話ですが、とうてい私には受け入れがたい財源案です。

なぜなら、政府が支出(債務=赤字)を増やすことなく経済成長を実現することなど不可能だからです。

とくに、デフレや地政学リスクが高まっているような経済情勢では、企業は積極的な投資を行いにくくなりますので民間主導の経済成長は益々もって困難となります。

そもそも地政学リスクが高まっているからこそ防衛力強化が必要になっているわけですし。

国家の安全保障に関わる予算は、経済成長の是非にかかわらず確保されるべきで、ふつうに政府が債務を負って貨幣を創造すればいいだけです。

いつも言うように、変動為替相場制を採用し、自国通貨建てで国債を発行できる日本政府において財政破綻(デフォルト)するリスクはゼロ%です。

その日本政府が、どうしてわざわざ民間企業に債務を負わせて貨幣(預金通貨)を創造し、その貨幣を回収しなければならないのでしょうか。

民間部門で生まれた貨幣は、民間企業に需要(仕事)があるからこそ発行されたものです。

それを政府が奪い取って、政策財源に充てるのですか?

実に滑稽な話です。

資本主義における政府というものは、自ら貨幣(財源)を創造するのです。

何度でも言います。

政府財政は赤字の状態こそが正常な状態であり、政府財政を黒字化しなければならないのは、余程に景気が過熱して民間債務が膨らみ過ぎたときだけです。