我が国では「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」という法律が令和3年5月19日に公布され、同年9月1日に施行されているのをご存知でしょうか。
同法律は、デジタル庁が進めている『ガバメントクラウド』を整備構築するために制定されたものです。
ガバメントクラウドとは、日本政府が提供する共通のクラウドプラットフォームのことで、これにより政府は国民の個人情報(例えば住基台帳情報や税務情報など)を一元的に管理し、究極的には私たち日本国民はスマートフォンなどでいつでもどこでも行政サービスを受けられるようになるという。
因みに、当然のことながら、それらの国民情報はデジタル庁の調査研究にも利用されることになります。
そのためには政府として一元化されたクラウドプラットフォームを構築しなければなりません。
クラウド上に一元化するため、政府は全ての地方自治体にこれに参加せよと言っています。
むろん法律では「参加せよ」とは命令してはいませんが、同法第10条には「地方自治体は同システムを利用するよう努めるものとする」とあります。
(第10条)地方公共団体は、デジタル社会形成基本法第二十九条に規定する国による環境の整備に関する措置の状況を踏まえつつ、当該環境においてクラウド・コンピューティング・サービス関連技術を活用して地方公共団体情報システムを利用するよう努めるものとする。
そこで川崎市ですが、平素から地方分権だの、特別自治市だのと叫んでいる割には意外にも政府に従順で、早々にガバメントクラウドへの参加を決め、すでに作業を進めています。
過日に開催された川崎市議会・決算審査特別委員会での私の質問に対する答弁によれば、川崎市は庁内の13システムを標準化するとのことです。
そして現在、それぞれの所管局が、ガバメントクラウド上に標準準拠システムを構築する方向で開発を進めているらしい。
例えば、戸籍や住民票などを管理している市民文化局では、標準化の対象となる「区役所事務サービスシステム及び戸籍総合システム」については、いずれも現行のベンダーである富士通JAPANのシステムを継続利用するのですが、ガバメントクラウドについては『アマゾン ウェブサービス』の利用を前提としての開発と検討が進められています。
そうです、ここが大問題なのです。
ガバメントクラウドについてはアマゾンという「外資」のシステムを利用することになっているのでございます。
つまり、地方自治体にクラウドサービスを提供するのは政府なのですが、そのシステムは外資のものなのです。
国民の個人データを扱う政府や自治体のクラウドが外資のシステムであることに違和感や危機感を覚えない議員がいるのだとしたら、そんな人は議員をやってはならない。
ご存知でしょうか。
政府は、運転免許証、健康保険証、小中学校の学習履歴、これらの情報をマイナンバーと紐づけ(一体化)しようとしています。
よってやがては、個人の銀行口座、クレジットカード情報、スマホ情報、税務情報、医療情報、学歴データ、そのほか各種の資格などなど、これらが悉くマイナンバーで紐付けられてしまう方向にあります。
こうした膨大な個人情報データーベースが、外資のガバメントクラウドシステムに集約されていくわけです。
実に恐ろしいことです。
安全性について、川崎市議会での私の質問に対し所管課は次のように答弁しました。
「安全性は、国と当該サービス提供事業者(アマゾン)の契約により保証されているものと考えております」
当該サービス提供事業者が必ず契約を守ってくれる保証は、誰がしてくれるのでしょうか…