今日は8月1日、インボイス制度(正式名称は「適格請求書等保存方式」)の開始まで2カ月となりました。
制度導入により、これまで免税措置を受けていた事業者も消費税を納めることになりますが、免税事業者がインボイス登録しない場合には、取引業者がその分を負担することになります。
当該ブログでは繰り返しになりますが、消費税を負担しているのは「消費者」ではありません。
消費税を納める義務を負わされているのは「事業者」です。
消費税法第5条には「納税義務者」という記載があり、そこに「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等(〜中略〜)及び特定課税仕入れ(〜中略〜)につき、この法律により、消費税を納める義務がある」とあります。
課税資産というのは要するに「それに課税をして売るんですよ…」ということです。
即ち「消費税を納めるのは事業者だけれど、販売時にその分を物品購入者(消費者)に価格転嫁していいですよ…」ということ。
どのように価格転嫁するかは、事業者に任されています。
よって、消費税はあくまでも物品(サービスも含む)価格の一部を形成するものにすぎず、消費者が納めた税金を事業者が預かり、代わりに税務署に支払っているわけではないのでございます。
因みに、消費税は事業者の粗利益に課せられた税金なので、買い手が消費者でなくとも、事業者間の取引においても価格転嫁は発生します。
しかしながら、大きい事業者と小さい事業者の間で商取引が行われる場合、むろん大きい事業者の方が価格決定力や価格交渉力がありますので、小さい事業者は価格に転嫁しづらいため、そのまま納税負担が重くのしかかります。
これまで課税免除されていた事業者の多くは、そうなることでしょう。
もしくは、インボイス登録をせず、これまでどおり課税免除を受けようとすれば、それまで取引してくれた事業者から仕事を貰えなくなってしまう可能性があります。
さて、消費税に限らず、事業者に対する税が重くのしかかれば、多くの事業者は価格に転嫁することになります。
例えば法人税や固定資産税が引き上げられれば、その納税により利益を減らすことになる事業者は、価格に転嫁し消費者負担を増やすことで利益を確保しようとするでしょう。
結果、消費者が法人税や固定資産税を負担していると言えます。
なお、法人税は粗利から人件費などの非課税仕入れを差し引いた利益に対して課される直接税ですが、消費税は非課税仕入れを差し引かない「粗利そのものに課せられる直接税」です。(消費税は第二法人税)
お解りでしょうか、利益(粗利−非課税仕入れ)の部分に、法人税と消費税という直接税が二重に課せられていることを。
しかも消費税の場合、利益のほか、人件費などの非課税仕入れ部分にまで直接税を課しているため、多くの企業が正規雇用を減らし、非正規雇用や個人事業主(業務委託契約)に切り替えることで納税回避をはかってきました。
これまで、消費税の税率が引き上げられるたびに、派遣社員を含む非正規雇用、あるいは個人事業主やフリーランスが増えたのはそのためです。
パソナの会長であられる竹中さんが、ことさらに消費税増税の必要性を訴えておられてきたのもなるほど頷けます。
何度でも言います。
消費税は間接税でなく直接税であり、第二法人税です。
そしてその負担は、回り回って消費者である私たち日本国民に押し付けられるのです。
しかも、国民が負担してきたこれまでの消費税額の5分の4が国債償還(貨幣消滅)に充てられてきたことが明らかになっています。
つまり「消費税は社会保障を充実させるために課せられている」というのは嘘だったのです。
これが消費税の真実です。