「ワクチン戦略」再考

「ワクチン戦略」再考

米国では、新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)の感染が広がっているという。

デルタ株は既に欧州全域で拡散していますが、とりわけワクチン未接種者が危険にさらされ、少しでも接種スピードが減速した場合には感染急増の恐れがあるとのことです。

フィナンシャル・タイムズによれば、米国の1日の新規感染者数の3分の1超がデルタ株で占められているらしい。

日本国内でも渡航歴のない人たちからもデルタ株の感染が確認されはじめています。

ただ、ファイザー社、もしくはモデルナ社のワクチンを2回接種すると、例えデルタ株であってもその予防力は85%以上に達するというからすごい。

そのことは外国の治験でも確認されているとのことです。

接種率の上昇スピードか、デルタ株の拡散スピードの闘いになってきました。

さて、ご承知のとおり、新型コロナウイルスは変異していくことからインフルエンザワクチンのように毎年の接種が必要になろうかと存じます。

そこで来年以降の我が国でのワクチン確保はどうなるのかが気になるところです。

思い起こしてほしい。

新型コロナワクチンの接種がはじまった当初、世界的な需要の高まりで、ワクチンメーカーでは製造ラインの増設等がなされたものの、需給が逼迫して一時的に供給が停止されてしまった期間がありました。

加えて我が国の場合、政府首脳や国会議員たちがワクチン接種そのものに消極的であったがために法改正とワクチン承認が遅れてしまい、そのことが最大の致命傷となって政府が確保できるワクチン量に限界があったわけです。

ゆえに国内での安定供給を着実にするならば、先進技術を有する製薬会社の工場(生産ライン)を日本国内に誘致するほかありません。

遺伝子ワクチンの利点は、小さな工場でも大量に生産できること、あるいはウイルス変異やパンデミックにも対応しやすいことにあります。

因みに、まことに残念ですが、日本の製薬会社にはファイザー社やビオンテック社並みのワクチンを製造することはできませんし、ライセンス生産する技術もありません。

ところが、なぜか日本政府はファイザー社製やモデルナ社製のワクチンではなく、なんとノババックスのワクチンを国内生産させることを検討しているようです。

現時点において明らかに世界的な評価が確定し、最も効果が高いとされているワクチンは、ファイザー社製(ビオンテック社)、もしくはモデルナ社製のワクチンです。

どうして、いまだ未使用であり、実際による大規模集団の中での評価がまったく定まっていないワクチン(ノババックス社製)なのか理解しがたい。

仄聞するところによると、某近隣国がファイザー社のワクチン工場の国内誘致を画策しているらしい。

もしそれが具現化されたならば、我が国を含む東アジア地域へのファイザー社製ワクチンの供給能力と供給権限をその国が握ることになります。