福島第一原発では、メルトダウンで破壊された原子炉の冷却に使用した水を、多核種除却設備(通称:ALPS)により人が飲んでも支障のないレベルにまで放射性物質を取り除き安全処理しています。
ALPSによって処理された水は既に約130万トンに及び、東京電力はその保管場所に苦慮しているわけですが、一日もはやく廃炉作業を進め福島を完全なる復興に導くためにもどうにかしなければなりません。
約130万トン…
と言われても瞬時にはピンとこないかもしれませんが、例えばオリンピック用プールの水520杯分が1000基以上のタンクに貯蔵されていると想像したらいい。
さて、ALPSは、あらゆる放射性物資を除去します。
ただ一種類、トリチウムという同位体だけは別です。
別なのですが、処理水は海水で希釈されることから、トリチウム濃度は国際的な安全基準をはるかに下回っています。
例えば東京電力は、当該処理水を海洋放出した際の魚などへの影響を調べるために、処理水を使った「魚の飼育実験」を行うなどして、科学的にその安全性を証明するなどの努力をしています。
因みにIAEA(国際原子力機関)は7月4日、処理水130万トンを海に放出するという日本の計画について「処理水の放出が人や環境に与える影響は無視できる程度だ」としてお墨付きを与えています。
その安全性は既に科学的に証明されているものの、残念ながら一部の地元コミュニティーや近隣諸国、環境活動家らから反対の声が上がり続けています。
とりわけ、反対している近隣諸国というのは、例によって中国、及び韓国の一部の人たちです。
中国は日本からの一部食品の輸入を禁止するなどの措置をとり、韓国ではハンガーストライキを行う政治家もいます。
たしかに、一定量のトリチウムを飲み込めば人体に害を及ぼす可能性がありますが、福島第一原発では1リットルあたり1500ベクレルのトリチウム濃度の水が排出される計画です。
ベクレルとは、放射性元素の原子核が変わる回数を示します。
いつも言うように、人間の体内でも放射性物質であるカリウム40が一人あたり約17㎎存在し、その分だけでも4400ベクレルに相当します。
1500ベクレルですから、それ以下です。
なお、WHO(世界保健機関)の飲料水基準では、トリチウム濃度は1リットルあたり1万ベクレルと定められています。
ゆえにALPS処理水1500ベクレルは、WHO基準(1万ベクレル)よりも更に約7分の1以下にまで抑えていることになります。
要するに、放出される濃度が、私たちが既に晒されているものよりも低いわけですから、ALPS処理水は安心して飲めるということです。
そもそも放射線に全く晒されていない人間など一人もいませんし、過去にも存在していません。
また、他の施設が過去に放出したことのある水をみてみると、2015年に英国のセラフィールド再処理施設で1540兆ベクレル、2002年に中国の大亜湾原発で42兆ベクレルという、福島第一原発とは比較にならないほどの線量の水が海洋放出されています。
その中国が1500ベクレルのALPS処理水に文句をつけています。
ハンガーストライキしている韓国の政治家は、中国や英国を批判したことがあるのか…