全国の地方自治体を所管する総務省は、財務省が主導する緊縮財政路線により地方債の起債を制限しています。
結果、財政制約に縛られた多くの地方自治体は、まず公共事業を削減することになりました。
公共事業を減らしたことによる最大の被害者は、将来の日本国民です。
公共事業によるインフラ整備は、将来のために行われるものなのですから当然です。
そして、事業を受注するはずだった土木・建設企業もまた被害者です。
災害など、いざというときに真っ先に国民を救ってくれるのは、とりわけ土木業などの建設業者なのに。
削られたのは、公共事業だけではありません。
川崎市もご多分に漏れず、多くの地方自治体は行政職員を削減し、非正規化を進めました。
パソナをはじめとする人材派遣会社は、行政サービスという「新たな市場」のビジネスでぼろ儲けしています。
しかしながら、どんなに行政コストを切り詰めたところで、「地方税などの財源が少ない」という問題を解決できるわけではありません。
いつも言うように、地方自治体は中央政府とは異なり、貨幣の利用者であって、貨幣の発行者ではありません。
ゆえに、地方自治体の財源を安定的に豊かにする方法は一つ、政府が地方交付税交付金を増やすことです。
とはいえ、政府のPB黒字化目標が維持され、緊縮財政が継続している以上、それは不可能です。
そこで、菅前総理の肝いりで導入されたのが『ふるさと納税制度』です。
ご承知のとおり、限られた税収を地方自治体同士で奪い合ってください、という過酷な制度です。
他の自治体からの寄附金(控除額)よりも、他の自治体への寄附金(控除額)の方が多い場合、それを「流出超過」と言いますが、2021年度、全国の自治体で最も「流出超過」が大きかったのが川崎市です。
流出超過額は95億円にのぼりました。
これを「川崎市の努力が足りないからだ…」と言うお〇〇さんもいますが、行政の努力などは関係がありません。
結果として当該制度は、自治体同士で有害な競争をさせる制度なのです。
儲かるのは、各自治体に入り込んだコンサルティング・ビジネスだけです。
自治体同士の奪い合いを強制する「ふるさと納税制度」は、即刻、廃止すべきです。
「うちの自治体はふるさと納税で儲かっているから、続けるべきだ…」と言う首長や議員たちもいますが、そのような公共心の欠片もないエゴイスティックな人たちは一刻もはやく政治の現場から身を引いてほしい。