米国国防総省のロシアによるウクライナ侵攻に関わる機密文書(約100点ほど)が、インターネット上に流出したとのことです。
国家の機密文書が流出するなど、諜報機関として実に憂慮すべき事態です。
文書には地図や図表や画像が含まれ、例えば、ウクライナの防空網など軍事機密の詳細が描かれているほか、米国の同盟国に関する機密文書も含まれているらしく、中東やインド太平洋地域の防衛・安全保障問題に関するものもあるらしい。
今回の流出の影響により、ウクライナは軍事計画の一部を変更したことを、ゼレンスキー大統領に近い関係者が明らかにしています。
また、今回の機密文書流出により、英国など多くの国がウクライナ国内で軍事特殊部隊を活動させていることが明らかになりました。
3月23日付の文書によれば、ウクライナに派遣されている特殊部隊の規模は、英国が最多の50人、NATO加盟国のラトヴィアが17人、フランスが15人、米国が14人、オランダが1人とのことで、西側諸国の関与が決定的に裏付けられた格好です。
専門家によれば特殊部隊の存在はその性質上、実に効果的らしいのですが、それら部隊がどこで何をしているのかは記されていません。
プーチン大統領は「我々はウクライナだけでなくNATOとも対決している」と主張し続けてきましたが、今回の件によって西側諸国の特殊部隊の存在を確認することになりました。
さて、多くの文書は、国防総省の日々のブリーフィングから流出したもののようですが、国防総省は24時間体制で流出の規模や損害の大きさ、そして誰によるものかの特定に努めているという。
現段階で判っているのは、文書は3月上旬に初めてビデオゲーム「マインクラフト」のチャットフォーラムに投稿されたとのこと。
ただ、流出情報には詳細な戦闘計画は含まれず、米国による寸評のような内容となっているようですが、それでもロシア側に有益な情報をもたらし米国の情報源を危険にさらしかねないことは確かでしょうし、なにより外交上の面目失墜は免れないところでしょう。
なお、文書の一部は改ざんされているようで、国防総省のミーガー報道官も「偽情報を拡散させる恐れがある」と憂慮しています。
なぜこのようなことが起きたのか、またこのことがどのような影響をもたらすのかについて調査中とのことですが、国家安全保障に対する深刻なリスクであることに変わりはない。
因みに、英国の国防省は今回の件について公式な見解を発表していませんが、SNSで、機密とされる情報の流出には「深刻なレベルの不正確さが存在することを示している」とツイートしています。
今回の一件もまた、覇権国としての米国の退潮を象徴しているような気がします。