きのう関東は真冬並みの寒さとなりました。
東京では日中も気温が上がらず、一日を通じて10℃を超えることはありませんでした。
また、青森や北海道では1m超の雪が積もり、日本全国でもっとも気温が低かったのは北海道の陸別町でマイナス17℃を記録したようです。
我が国では輸入エネルギーの価格上昇から家計も企業も高い電気代を負担しなければならない時節にあり、この冬を越えるのは実に難儀なことです。
ただ、日本はまだいいほうかもしれない。
生活インフラを破壊されているウクライナは、この冬、もっと厳しい状態に追い込まれそうです。
東京の緯度は35.68であるのに対し、キエフの緯度は50.45です。
ただでさえ日本よりも寒い。
ご承知のとおり、10月以降のロシア軍のインフラ攻撃によって、既にウクライナの電力網の40%が破壊されています。
電力網のみならず発電用ダムなどのエネルギー施設も爆撃されていることから、今も100万人を超えるウクライナ人が電気のない生活を余儀なくされています。
キエフ市長によれば、水道が不通になっている世帯は8割にも及んでいるらしい。
今年度のウクライナのGDPは前年比でマイナス35%にまで落ち込むことから、国連は12月25日のクリスマスまでに10人に9人が貧困に陥る危険があると警鐘を鳴らしています。
ウクライナ特別軍事作戦の総司令官に新たに就任したロシア軍のセルゲイ・スロビキン大将は、仲間内から「ハルマゲドン将軍」と呼ばれるほどに冷酷な将軍であることから、今後もインフラへの攻撃の手を緩めることは考えにくい。
劣勢を強いられているプーチン大統領は、明らかに「冬」を味方にしようとしています。
ウクライナでは生活がままならないだけでなく、凍え死んでしまう人や病状が悪化してしまう人が続出しないか懸念されます。
むろん、ウクライナをロシアとNATOの緩衝地帯にすることなく、プーチン(ロシア)をウクライナ侵攻に追い込んだ西側の責任も大きい。
ゆえに米国やNATO諸国は、ウクライナ国民が冬を乗り越えられるよう、電力や暖房の復旧に必要な機器、そして食料や水などの生活必需品の提供を惜しむべきではない。
第二次世界大戦後、ドイツのベルリンが東西に分割占領された際、ソビエトが東西を再統一させようとして、米国や連合国が管理する西ベルリンを封鎖したことがあります。
その時もソビエトは、ベルリンにつながる道路・鉄道・運河など全ての交通インフラを遮断しました。
もしも遮断されたまま放置されていたなら、西ベルリン住民の多くが餓死や凍死に追い込まれたにちがいない。
むろん、米国や連合国は西ベルリンを切り捨てはしませんでした。
いわゆる「ベルリン大空輸」によって食料や石炭などの生活必需品を輸送し、ソビエトの計画を阻止したわけです。
米国およびNATOは、ベルリン大空輸並みの物資提供を行い、ウクライナのインフラ復旧に協力すべきです。