食料自給率について農林水産省は、①生産額ベースと②カロリーベースの二つの指標を示しています。
生産額ベースの食料自給率とは、要するに「金額」でみた自給率のことです。
具体的には、国内生産額から輸入額を差し引くことで算出します。
金額でみているため、例えば国内で生産される農産物の価格が引き上げられるだけで生産額ベースの自給率は上昇してしまうことになります。
一方、カロリーベースの食料自給率は、基礎的な栄養価であるエネルギー(カロリー)に着目し、国民に供給される総カロリーに対する国内総生産の割合を示すという指標になっています。
カロリーベースの食料自給率で注意しなければならない点は、畜産物のうち、輸入した飼料により国内生産されたものについては「国産」には含めていないという点です。
例えば、米国から輸入した配合飼料によって育てられた畜産物は「国産」とはみなされない。
なぜなら、もしも外国からの飼料輸入が滞ってしまえば国内生産が不可能になるからです。
冒頭のグラフのとおり、我が国は生産額ベースの食料自給率は67%となっておりそこそこ高いのですが、カロリーベースでは37%となります。
外国からの食料関連品の輸入が途絶すると、日本国民が接種可能なカロリーは4割弱に落ち込んでしまうわけです。
なお、食料自給率をみる際には、品目にも注目する必要があります。
日本はおコメの自給率が97%となっており100%に近いのですが、これはおコメの生産量が増えているのではなく、需要が減っているためです。
残念ながら日本人は次第におコメを食べなくなっています。
逆に、小麦などコメ以外の穀物を食べる量が増えていると言えますが、小麦の自給率は15%に過ぎません。
即ち、主食用穀物の自給率は60%に下がってしまうことになるわけです。
それに畜産物のエサである配合飼料(穀物)を合わせますと、実は穀物自給率はわずか28%になってしまいます。
因みに、日本よりも穀物自給率が低い主要国はオランダだけです。
あるいは、日本では野菜の自給率は80%と比較的に高めなのですが、実は日本で生産されている野菜の種の9割は外国産です。
これでは、何らかの事情で種の輸入が困難となり価格が一気に高騰などすれば、日本国内の野菜自給率は一気に下落することになります。
種の9割が輸入依存になった理由を、農林水産省は次のように説明しています。
「温室などで雨を避けて種を生産したり、人を雇って手伝ってもらえば日本でも品質の高い種を多く生産できますが、おカネがかかるために外国で種を生産してもらうようになった」と。
要するに、外国で生産したほうが安いから種の輸入を増やしていったわけです。
また「カネ」の問題か!
私たち日本国民はまず、日本の食料自給率の現状を知るとともに、我が国に深刻な財政問題など存在せず、自国通貨建てで国債を発行し変動為替相場制を採用できているかぎり、政府の貨幣発行に上限がないことを理解すべきです。