経済対策、真水で29.6兆円

経済対策、真水で29.6兆円

きのう岸田内閣は臨時閣議を開いて「経済対策」を閣議決定しました。

経済対策の正式名称は『物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策』です。

今後、これを具現化するための補正予算案が現在開会中の臨時国会で審議されることになります。

気になる規模(金額)については、真水(実際の財政支出)で29.6兆円です。

内訳は、一般会計総額で29兆1000億円程度、他は特別会計等を合わせて5000億円程度です。

昨年同時期に成立した補正予算のほとんどはコロナ対策でありましたが、ことしは物価高や円安などに対応するための補正予算(経済対策)となります。

例えば家庭向けへの対策としては、電気料金、都市ガス、子育て関連がその柱となっています。

高騰している電気料金の負担を軽減するため、電力使用量に応じて各家庭に請求される料金を来年1月から1キロワットアワー当たり7円補助し、およそ2割抑制するとしています。

そのついでにFIT(再エネ固定価格買取制度)を廃止して、再エネ賦課金の国民負担をゼロにしてほしいところですが、まず無理でしょう。

一方、経済対策では都市ガスの料金負担を軽減するため、家庭や企業に対して1立方メートル当たり30円支援するとしており、石油元売り各社に支給している補助金についても、年末となっている期限を延長して来年度の前半まで継続することでガソリン等の燃料価格の上昇を抑えようとしています。

このほか子育てに関する分野では、妊娠や出産に際して合わせて10万円相当の経済的支援を行うとのことです。

また、現在用意している予備費とは別枠で新たに予備費を設けて、コロナはもちろん急激な国際情勢の変化や災害発生等に備えるとのこと。

新たな総合経済対策の財政支出の規模は、国と地方の歳出や財政投融資を合わせた総額が39兆円程度となります。

因みに、民間の資金なども合わせた事業規模としては、71兆6000億円程度でしょうか。

しかしながら今回の経済対策には、コロナ融資(無担保、無利子)を受けた事業者の債務免除は含まれていません。

経済対策の中には事項要求(金額を示さないで項目だけ記載されている)としてあるものの、これから国会に提出される補正予算には計上されません。

計上するとなるとおそらくは、それだけで20〜25兆円規模の額にもなるでしょうから、健全財政至上主義の財務省が認めなかったのではないでしょうか。

コロナ融資の返済が迫られるのは来年の春以降からですので、まだ少し猶予期間がありますが、現在の厳しい経済情勢を鑑みればぜひ債務免除を行うべきです。

モラル・ハザード論を理由に「債務免除」に強く反対する意見もあると思いますが、飲食業界、観光業界、航空業界などの運輸業界を中心に多くの事業者が今回コロナ不況による影響を諸に被っていますので、ナショナリズムの精神で寛容になって頂きたいと思います。

政府与党におかれては、来年4月までにどういうスキームで債務免除を行うのかの具体的議論を尽くしてもらいたいと思います。

むろん、債務免除のための予算計上を今年度の第二次・第三次の補正予算としてやるのか、あるいは来年度の当初予算でやるのかはどちらでもいい。

まかりまちがっても、今年度の補正で積み増した分を、来年度の本予算で抑えるような姑息なことだけはやめてほしい。

岸田内閣は現在開会中の臨時国会での補正予算成立を目指していますので、来月から開会される川崎市議会定例会でもこれに対応した本市の補正予算案が審議されることになります。