度重なる北朝鮮のミサイル発射、高まる中国の軍事的脅威と緊迫化する台湾危機、そしてロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、さすがに平和ボケと揶揄されてきた戦後日本人でさえ、防衛や軍事への関心が高まってきているようです。
むろん、何があっても無関心な人たちもいるでしょうけど。
覇権国・米国の退潮によりグローバリズムが終焉し、戦後の国際秩序が根幹から揺らぐ大変革の時期にあることを痛感します。
戦後、GDP(GNP)比1%枠という制約のなかで防衛力を整備してきた日本ですが、ついに我が国の防衛費を5年以内にGDP比2%にする時代が到来しました。
その行く手を阻むのは、1に緊縮財政至上主義の財務省、2に国内の反軍主義者及び左翼勢力といったところでしょうか。
おそらくは米国様による要請でしょうから、国内にいかなる反対があろうとも政府としての方向性は変わらないものと思われます。
それはさておき、GDP比2%の防衛費によって、どのような防衛力をつくっていくかが極めて肝心なポイントとなります。
このブログでは防衛や軍事に関する話題をよく取り上げることから、「日本の軍事力ってどのくらい強いんですか?」という質問を頂くことが多い。
しかしながら、「強さ」を決定する基準は多岐にわたることから、その質問に一言で答えることは実に難しい。
比較対象にもよりますし、戦闘環境にもよっても強さの基準は異なってきますので…
おそらく現役の統合幕僚長だって、簡単に一言で答えることはできないはずです。
なので私ごときなら、なおさらです。
例えば、戦闘機、護衛艦、戦車などの装備の物理的能力、武器弾薬の補給や予備兵力等々、人事・後方の持続力も加味しなければならないでしょうし、訓練の練度、実戦経験の豊富さによっても変わります。
自衛隊の訓練練度の高さ、軍規の厳格さは世界が認めるところですが、なにせ自衛隊発足以降、まったく実戦経験がありません。
あるいは有事法制や憲法問題のほか、国民による理解と支援も含めた総力戦となると、様々な難点があります。
その上で、あえて自衛隊の実力を客観的にみるとするならば、以下のようになりますでしょうか。
「艦艇の総トン数において海上自衛隊は世界第4〜5位の海軍であり、戦闘機の機数でいうと航空自衛隊は世界第11〜13位くらいの空軍、兵員の総数からして陸上自衛隊は世界第30位前後の陸軍、というのが静的・客観的な評価基準であり、真の実力はその基準よりも上とも下とも言え、想定する戦いの場によって変わる」
今後、GDP比2%の防衛予算でどのような防衛力をつくるのかについては、特定脅威に対抗するための防衛力整備ではなく、あらゆる脅威にオールランドに即応対処できる基盤を強化する「基盤的防衛力論」で整備してほしい。