27日、FRB(米連邦準備理事会)は、0.75%の利上げを決めました。
利上げペースとしては通常の3倍になるという。
米国の政策金利は3月以降、この4ヶ月間で2.25%上昇しています。
日米の金利差がさらに広がるのではという懸念から、株式市場などの金融筋は一層の円安を恐れているようですが、日銀の雨宮副総裁は「(FRBの利上げによる)直接の影響はない」としており、日銀としては従来どおり大規模緩和を継続するとのことです。
日本経済新聞は「このまま日銀は動かないのか」と、トンチキな記事を書いていますが、動くべきは政府であって日銀ではない。
そもそも日米の金利差そのものが、動かない日本政府がもたらした産物です。
きのうのブログでも申し上げましたとおり、米国や欧州とは異なって我が国だけが、コロナ禍に対し充分な財政出動をしませんでした。
結果、未だに日本経済はデフレ下にあり、日銀が利上げできる状況には至っていません。
とりわけ米国は大規模な財政支出によって景気が一気に拡大しました。
バイデン大統領の『救済計画』だけで1.9兆ドル(約200兆円)規模の歳出を行っています。
そうしたマネーがコロナ自粛の緩和とともに消費(GDP)にまわったわけです、
政府による支出は、以下の恒等式のとおり、必ず国民の預貯金になります。
政府収支 + 民間(企業・家計)収支 + 海外収支(経常収支) = 0
このような恒等式を持ち出すまでもなく、2020年に給付された定額給付金(10万円)を思い出せば充分です。
政府が12.6兆円の国債(通貨)を発行し、それを銀行預金という形で国民に給付(支出)したことで、12.6兆円という国民の預貯金が創出されたわけです。
既に10万円を使ってしまい「もうとっくに手元にはないよ…」と言う人もおられるでしょうが、あなたが使った10万は必ず他の誰かの預貯金になっています。
むろんこれは、例えば公共事業という形態で支出しても結果は同じです。
とにもかくにも政府の支出は、外国への支払いでないかぎり必ず国民の預貯金になります。
米国は『救済計画』だけで1.9兆ドルもの貨幣を供給したのですから、コロナ自粛の緩和とともにそうしたマネーが一気に消費にむかったのも当然だと思います。
日本の定額給付金は国民一人あたり10万円ですが、米国のそれは国民一人あたり200万円以上でした。
こうした政府支出の規模の違いが、現在の日米金利差をもたらしています。
即ち、政府が動いた米国では利上げが必要になるほどに経済がインフレ化し、政府が動かぬ日本では利上げできないほどにデフレ経済が継続しているのです。
動くべきは、日銀ではなく政府です。