可処分所得に占める消費の割合を「消費性向」といいます。
とりわけ、所得の低い世帯ほど消費性向は高くなります。
なぜなら、可処分所得がいかに少なくとも、生きるためにはどうしても生活必需品など衣食住のために必要なモノやサービスを購入(消費)しなければならないからです。
それでも我が国の平均消費性向は、消費税の税率を引き上げるたびに低下しています。
消費税が増税されると、自然、可処分所得が減らされます。
すると、先行きの不透明感から多くの国民が生活を切り詰め、懐を引き締め、益々もって消費を手控えます。
だから可処分所得の低下とともに消費性向まで引き下げてしまうわけです。
消費税がいかに恐ろしき税金であるのかがよく理解できます。
ガソリンをはじめとするエネルギー価格が上昇しつづければ、今後さらに電気代が跳ね上がっていくことでしょうし、食料品の価格上昇についてもウクライナ危機が拍車をかけています。
エネルギーと食料を輸入に依存している我が国ですが、いわゆる輸入品価格の上昇に伴う「コストプッシュ・インフレ」は消費税増税と同じで就業者の可処分所得を圧縮します。
あくまでも値上げ分は海外の生産者の所得であって、国内の生産者の所得にはならないからです。
だからこそガソリン税のトリガー条項の凍結を解除し、少しでもガソリン価格を引き下げることが必要ですし、何よりも消費税そのものを廃止して日本国民の可処分所得を増やすことが必要です。
因みに、政府の消費税税収は、国民一人あたりで換算すると平均約20万円です。
3人家族であれば60万円、4人家族であれば80万円という金額に及びます。
そもそも税金とは、政府が国民の所得を奪うものです。
即ち、消費税を廃止することで、例えば5人家族であれば年間100万円の可処分所得が増えることになります。
上のグラフのとおり、エネルギーと食料品を除いた消費者物価指数(コアコアCPI)はマイナス化しています。
昨今、日本のメディアが煽っている「インフレ率上昇!」は、あくまでもエネルギ−価格と食料品価格を含めた消費者物価指数の上昇です。
ゆえに、それをもって財政や金利の引き締めだの、消費税の増税だのと言われたらかなわない。
今後、懸念されるのは、「インフレ率が上昇しているから、もっと財政を引き締めるべきだ」という緊縮世論が形成されていくことです。
繰り返しますが、現在の我が国で起きているのはコストプッシュ・インフレとデフレの同時発生です。
これを一石二鳥で解決するために採るべき政策は、財政支出の拡大という「政府収支の赤字化」のほかありません。
むろん、財政支出の拡大には減税措置も含まれます。