新型コロナウイルスは、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロンと変異を続けています。
今後、さらに変異を続けることになるのでしょう。
懸念されるのはワクチンや治療薬が効かなくなるような変異が起きることですが、その場合、コロナ禍は数年に及ぶことになります。
ウクライナ戦争についても、長期化する可能性があります。
例え大規模な戦闘状態が終結したとしても、ロシアに対する経済制裁は続けられるのではないでしょうか。
それに、ウクライナはもちろんのこと、きっとロシアの内政も不安定化するでしょうから、世界経済への影響は一時的なものにはとどまらないはずです。
とりわけ、懸念されるのは食料問題です。
我が国は農業生産にあたって肥料や飼料、あるいは燃料など生産資材の多くを輸入に依存しています。
例えば今回のウクライナ危機の当事国であるロシア、及びその同盟国ベラルーシは、リン、カリウムなど化学肥料原料の多くを輸出しています。
それらの100%を輸入に頼っている日本にとって、今回のウクライナ危機が他人事でないことがわかります。
ただでさえ、日本の食料自給率(カロリーベース)は、既に37%という史上最低値を記録しています。
しかも品目別にみると、かなり深刻です。
例えば我が国の野菜の自給率は80%ありますが、残念ながら種採りの90%は外国の圃場に依存しています。
ゆえに、外国からの種が滞った場合、実質的な自給率は8%にまで低下します。
因みに、2035年にはそれが4%にまで低下するという試算もあります。
国産率96%をほこる鶏卵についても、鶏が食すエサ(飼料)は輸入に依存していることから、それらが滞ると実質12%にまで低下します。
そもそもヒナのほとんどは外国から入れていますので、実質的には0%と言っていい。
ウクライナ危機以前から、肥料、飼料、燃料などの生産資材の価格は高騰しています。
販売価格に転嫁できない農家は悲鳴をあげています。
このままでは廃業せざるを得ない、という農家が増えています。
農業は食料安全保障を担う基幹産業です。
その国産率を引き上げるために、政府はしっかり農家を保護しなければならない。
残念ながら我が国には、先進諸国では当然とされている「生産者への損失補填」を行う仕組みすらない。
恐ろしいことに日本政府(自公政権)は、コメをつくるなと言うだけでなく、その代わりに麦、大豆、野菜、そば、エサ米、牧草などをつくる支援として支出してきた交付金までをもカットすることを決めています。
何のために…
プライマリーバランスを黒字化するために…
悲しいかなこの国は、食料安全保障よりも歳出の削減(財政収支の黒字化)が優先される国なのです。