先週の金曜日(1月7日)、総務省から11月の『家計調査』が発表されました。
2人以上の世帯の消費支出は27万7029円となり、実質値(物価変動の影響を除いた数値)でみますと、前月(10月)に対して1.2%の減、前年同月に対して1.3%の減でした。
なお、前年同月としては4ヶ月連続のマイナスとなりました。
コロナ禍で大きく落ち込んだ昨年との比較において「4カ月連続のマイナス!」ですので、その深刻さがわかります。
つまりコロナ発生以前の2019年に比べたら、エグいほど落ち込んでいるわけです。
実質消費支出がマイナスになるということは、国民がものを消費する力を失っていることを意味します。
例えば前年同月比で1.3%の減、ということは、昨年同月は100kgのお米を購入できたのに、今年は98.7kgしか購入できなかった、ということになります。
「なんだ、その程度か…」と思われるかもしれませんが、これは概念的に解りやすく例えているだけで、上のグラフのとおりデフレ経済が続いている我が国では、トレンドとして長期にわたり実質消費支出は下落し続けています。
お米だけでなく全ての消費についてこれだけ長きにわたり減り続けているわけですから、国民経済に与えるその影響は計り知れません。
なにせ実質消費支出の低迷は、需要の縮小、さらには実質賃金の低下をもたらします。
実質賃金が下がった国民は益々もって実質消費を減らすことになりますので、まさに絵に描いたような悪循環に陥ってしまうわけです。
岸田内閣は既に財務省に支配されているようで、財政については緊縮の方向に進みだしています。
しかしながら現在の日本の長期金利は、わずか0.14%の超低金利です。
これは「カネ余り」と「借り入れ不足」、さらには「国債不足」を表しています。
また、長期金利の超低迷は、政府の支出(消費、投資)不足であり、同時に民間の資金需要不足でもあります。
にもかかわらず、政府はプライマリー・バランスの黒字化目標を破棄することなく国債の発行額を抑制しようとしてます。
何度でも言います。
政府が国債を発行して支出を拡大することでしかデフレを脱却することはできません。
そしてデフレを脱却しないかぎり、実質賃金は上がらず、消費支出が拡大することもありません。
これを理解できる総理大臣は、いつ現れるのでしょうか。
理解しているけどできないのであれば、それは政治家としての資質の欠如です。
すみやかに引退をお勧めします。