新年あけましておめでとうございます。
本年もブログを更新して参りますので、ひきつづき御愛読のほど宜しくお願い申し上げます。
さて、昨年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
むろん、この宣言は地球規模の課題とされている「気候変動問題」の解決に向け採択された2015年のパリ協定が根拠になっています。
パリ協定では世界共通の長期目標として…
1.世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く保ち、さらに1.5℃に抑える努力をすること
2.今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
…が合意されました。
この実現に向け120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げ、それぞれに取組を進めています。
こうして世界的な脱炭素社会の追求が行われているわけです。
しかしながら、そう簡単にクリーンエネルギーへの世界的転換が進むとは思えません。
例え技術が日進月歩であったとしても、エネルギー資源の動向には必ず地政学上の問題が絡みつきます。
そこに構造的転換がもたらされるのであればなおさらです。
言わでもがな、エネルギーシステムは地政学秩序を支えている重要要素の一つです。
それだけに、エネルギーシステム全体を再構築するプロセスは世界的混乱を伴うのは避けられないでしょう。
クリーンエネルギーなるものが国力の新たな源泉となるのにどれほどの時間を要するのかは計り知れませんが、クリーンエネルギーの新しい地政学と石油や天然ガスなどの従来の地政学との衝突は避けがたい。
例えば、クリーンエネルギーのローコスト化及び普及が進めば進むほどに石油価格は下落していくわけですが、そのことは当然に集団安保主導国である米国の中東への関心を低下させるため中東情勢が不安定化します。
あるいはロシアなどの石油資源国が石油価格を安定させるために冒険的な国際紛争を引き起こす可能性も否定できません。
因みにロシアは今、米国の対応次第では1月末にはウクライナに侵攻する可能性を匂わせており、ただでさえ地政学的緊張は高まっています。
ゆえに国際社会は、クリーンエネルギーへの転換が引き起こすであろう地政学的リスクを軽減するための措置を講じなければならないわけです。
エネルギー問題を一つとっても今や世界は不確実性の時代なのです。
ここで言う「不確実性」とは断続的かつ衝撃的なショックを伴うものであることを覚悟せねばならないと思います。
こうした不確実性から、私たち国民の生命と財産、そして長い歴史を通じて獲得してきた伝統や文化等の価値を守ってくれる制度的体系こそが国家です。
しかしながら、我が国ではこの30年間、ネオリベラリズム(新自由主義)という恐ろしき教義(ドグマ)が政治の世界に蔓延し、国民経済を貧困化させ国家そのものを弱体化させてきました。
現在の日本が、想定不能な不確実性に対して極めて脆弱なのはそのためです。
にもかかわらず、先の衆議院総選挙ではネオリベラリズムの権化のような政党が未だ躍進し続けています。
今年も、私のナショナリストとしての戦いは続きます。