先週末、来年度の政府予算案がまとまりました。
一般会計の総額は107兆円を超え、国債発行残高も1000兆円を超えていることから、例によってメディアは(特にNHK)は「膨張する予算!」「歯止めがかからない予算膨張!」「失われた規律!」と騒いでいます。
お約束のように「国家予算を家計簿に例えると…」などと無知を曝け出して憚らない。
「年収652万円の世帯が1億260万円の借金をしているぅ〜」と言うけれど、マクロの問題をミクロで語る典型的なお〇〇さんです。
そもそも通貨発行権をもつ政府財政を、通貨発行権をもたない家計のお財布に例えることの意味がわからない。
因みにNHKは早くも「なぜ補正予算は膨らむのか」と今から疑問を呈していますが、理由は簡単です。
毎年、総需要が不足するデフレ経済に対し、本予算の規模が少ないからです。
来年度予算(政府案)の国債費は24兆3000億円余りですが、この中には元金の償還が含まれています。
断っておきますが、償還費を予算に計上している国は世界広しといえども我が日本国だけです。(日本は毎年、元金償還費として100兆円分を計上しています)
諸外国は元金償還などは計上せず、現実ににはひたすら借り換えの繰り返しで、予算計上するのは利払費だけです。
なぜか日本だけが「60年償還ルール」などという馬鹿げたルールを設けて、元金償還を計上しているのです。
そこで、「ちょって待て、元金を償還しなかったら国債残高が拡大していってしまうではないかぁ〜」と思われた人たちは、よく考えてみてほしい。
上のグラフのとおり、政府債務残高の対GDP比を国債比較してみると、元金償還を計上している日本のほうがはるかに高くなっています。
元金償還を計上していない諸外国のほうが、政府債務残高対GDP比が小さい。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
答えは簡単で、日本だけがデフレ経済下にあり、そのため分母となるGDPが成長(拡大)していないからです。
ではどうして、デフレを脱却できないのか?
むろん、政府が緊縮財政(歳出や国債発行の抑制)を行っているからです。
結局、今の日本は、財務省やメディアによって「予算が膨張しているぅ」と喧伝されて国民が緊縮予算を支持する。
するとデフレが継続する。
デフレが継続するから税収が不足する。
するとまた緊縮財政の必要性が説かれる。
それをまた国民が支持して緊縮予算が組まれる。
するとまたデフレ化する。
この馬鹿げたスパイラルはいつまで続くのでしょうか。
何度でも言います。
NHKをはじめ日本のメディアらは「政府予算の膨張」を問題視していますが、真に問題なのは政府予算の膨張度合いが足りていないことなのでございます。
『松鶴家千とせ』じゃぁないけれど、わかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ…