先月4日に開かれた国連総会で、北朝鮮が韓国にある国連軍司令部を解体するよう改めて求めたのをご存知でしょうか。
「国連軍司令部…」
それが日本に何の関係があるのか、と思われる方もおられましょう。
しかし日本にとって全く無関係な話ではありません。
なにせ北朝鮮の言う「国連軍司令部」の後方司令部は日本の横田基地にありますので。(本部は在韓米軍の龍山駐屯地内)
朝鮮戦争は68年前にすでに終わったと誤解されている人が多いようですが、この戦争は未だ講和条約が結ばれておらず終戦に至っていません。
ひきつづき休戦状態にあるわけです。
国連軍司令部が今なお存続しているのはまさにこのためであり、彼らは休戦条約がきちんと守られているかを監視しているとともに、休戦条約が破られたときに備えています。
休戦協定が調印された際の南側の当事者は国連軍総司令官マーク・クラーク大将でした。
調印にあたり国連軍に参加した韓国を除く16ヶ国は共同宣言(国連軍参戦16ヶ国共同政策宣言)を発し、そのなかで「我々は国連の原則に再び挑戦して武力攻撃が再開される場合には、再び一致して直ちに抗戦するであろうことを世界平和のために確認する」と明らかにしています。
ゆえに、もし北朝鮮が韓国に紛争をしかけた場合には、直ちに16ヶ国が朝鮮半島に集結し共同宣言を実行に移します。
この状態が68年間も続いているわけで、だからこそ北朝鮮は、この国連軍司令部が邪魔でしょうがない。
先日の国連総会において北朝鮮が「解体」を求めたのもそのためです。
さて、国連軍司令部そのものは1950年に東京で設立されました。
その後、1953年に座間キャンプに移動し、さらに1957年にソウル龍山に移りました。
そのとき座間に残って新たな組織として設立されたのがこの後方司令部で、これが2007年に在日米軍司令部のある横田空軍基地に移住し、現在はオーストラリア軍の空軍大佐が後方司令官を務めています。
後方司令部に与えられた任務の一つが「国連軍地位協定の実効性の維持」です。
この国連軍地位協定もまた知らない人が多い。
国会議員でも日米地位協定のことは知っていても「国連軍地位協定」の方はほとんどの議員が知らないことと思われます。
正式名称は『日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定』ですが、実は日本国内には横田基地(後方司令部)以外にも6ヶ所の国連軍基地があります。
これらの基地には、国連軍に参加している国の艦艇や飛行機が国連軍地位協定に基づいて往来しています。
むろん目的は集団安保の責務を果たすためです。
残念ながら今の日本では、こうした「国連軍地位協定」や「在日国連軍用基地」の存在を理解している人が政治家を含めほとんどいない。
同盟国米国が覇権国として経済的にも経済的にも世界に君臨していたころならば、政治家を含め私たち日本国民は軍事に無知でよかった。
しかしながら、もはやその時代はとうの昔に過ぎ去っています。