先週の金曜日(11月26日)、政府は臨時閣議を開き補正予算案を決めました。
補正予算の歳出規模は35兆9895億円で、そのうち経済対策関係費は31兆5627億円です。
経済対策関係費の対象は次の4項目です。
1.新型コロナウイルス感染症の拡大防止
2.「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え
3.未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動
4.防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保
なお、肝心な新規国債発行額は、22兆580億円です。
なぜ新規国債発行額が肝心なのかといえば、デフレ経済下にある今、さらなる通貨発行(需要創造)が求められているからです。
コアコアCPIがマイナス化している現状において、果たして22.1兆円程度の通貨発行(国債発行)額で足りるのでしょうか。
おそらくインフレ率にほとんど影響を与えない可能性が大です。
今回の補正予算案が閣議決定されたことを受けて日本経済新聞は「財源となる歳入の不足分は22兆580億円の国債を発行してまかなう」と報道していますが、これは政府による国債発行が財源を賄う緊急手段であるとの誤解から生じた記事であり、あるいは国民に財政破綻論を喧伝するための煽り記事かと思われます。
ぜひ誤解のないようにして頂きたいのですが、22.1兆円の新規国債を発行するからといって、べつにこの22.1兆円を国民が負担するわけではありません。
なお政府は国債発行にあたり国民からおカネを借りているわけでもありません。
むしろ話は逆で政府による22.1兆円の国債発行は、22.1兆円の新たな通貨発行となります。
ご承知のとおり、政府が国債を発行する場合の引き受けては民間銀行です。
その民間銀行は中央銀行(日銀)に設けられた準備預金で国債を購入します。
ここで言う「準備預金」とは中央銀行が供給したものであって、銀行が家計等の民間からかき集めた預金ではありません。
政府の国債発行は民間貯蓄でファイナンスされているのではなく、中央銀行である日銀が創造した準備預金ですので。
因みに、国債とは「国家の債務(借金)」の略称ではなく、「国家が発行する債券」のことです。
財務省とメディアは、まるでこれを「国の借金」であるかのように、あえてミスリードしている節があります。
なぜなら、借金と思わせることで「必ず返さねばならないおカネ」というニュアンスを国民に植え付けることができ、緊縮財政を正当化することがでるからです。
とはいえ、政府の国債残高は明治以来すでに3973万倍(物価の変動を除くと564倍)にまで膨らんでいますが、それでも日本政府は一向に破綻しません。
なぜか?
国債は、返済不要な政府の負債だからです。
何度でも言います。
国債発行残高とは、たんに通貨発行残高にすぎません。