去る15日、内閣府が発表した2021年7~9月期(Q3)の国内総生産(GDP)の速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.8%減となりました。
2四半期ぶりに再びのマイナス成長です。
Q3は、とりわけ民需が酷かった。
例えば、民間最終消費支出は対前期比1.1%減、民間住宅は同2.6%減、民間企業設備は同3.8%減です。
それもそのはずで、緊急事態宣言が繰り返されたことに加えて、政府は碌な経済対策(財政支出)をしてこなかったのですから。
結局、菅政権は補正予算を組みませんでしたし。
ここにきて、ようやく岸田内閣の経済対策の規模が明らかになりました。
事業規模で78.9兆円とのことですが、ここでは事業規模など無視すべきで、肝心なのは政府が新たな貨幣(アクティブマネー)をいくら創出するかです。
報道によると、国の歳出は43.7兆円とのことです。
名目GDPの約8〜9%分相当の規模でしょうか。
むろん、多い少ないの議論もありますが、今はただ急いで執行してほしい。
政府は今日にも閣議決定しますが、例によって日本経済新聞は早速「赤字国債の発行は避けられない。財源論が後回しになっている…」と警鐘を鳴らす記事を書いています。
日本経済新聞さんに申し上げたいが、税収は財源ではありません。
なお、今回の経済対策により、いわゆる基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、当然のことながら悪化します。
我が国には「プライマリーバランスこそが財政規律である」と悪意をもって誤解している人が多いようですが、「悪化して何か問題でもありますか?」という程度の話です。
政府が財政支出を拡大させ名目GDP(アクティブマネー)を創出することで、政府債務残高/GDPという国際基準の財政規律は着実に改善します。
また、経済対策を「バラマキだ!」と批判する人がいるかも知れませんが、何をもってバラマキと成すのかをきちんと定義し、その上でなぜバラマキはいけないのかを明確にしてから批判して頂きたい。