ガソリン価格が上昇しています。
『石油製品小売市況調査』によると、11月1日時点でのレギュラーガソリンの店頭価格は168.7円/㍑となり、9週連続の上昇となりました。
愛車がハイブリッド車とはいえ、さすがに車に乗る気が失せます。
それでもなお、OPECプラスは追加増産を見送ったようですので当面はこの状況が続きそうです。
産油国vs消費国の攻防はいかに…
さて、世界を襲ったコロナ・パンデミックは国家経済の自己完結性がいかに重要であるかを再認識させ、グローバリゼーションの限界と矛盾を顕にしました。
歴史上、グローバリゼーションの時代は3つありました。
1つ目は、第ゼロ次グローバリゼーション(1570s〜1775年)
2つ目は、第一次グローバリゼーション(1830s〜1930年)
3つ目は、第二次グローバリゼーション(1980s〜現在)
第ゼロ次グローバリゼーションは大航海時代にはじまる世界貿易の拡張時代であり、第一次グローバリゼーションはパックス・ブリタニカによる金本位制の時代であり、第二次グローバリゼーションは米国を覇権国としワシントン・コンセンサスを経済の主軸にした時代として今なお継続しています。
とりわけ、1980s以降の第三次グローバリゼーションは貧富の格差を健在化させました。
上のグラフはエレファントチャートならぬ「ネッシーチャート」と呼ばれるもので、世界の総人口を所得分布別にならべたとき、上位0.001%の人たちに富(所得)が極端に集中してしまったことがよく解かります。
いちばん割りを食ったのが日本や米国、あるいは西ヨーロッパ諸国を含めたOECD加盟国の中間所得層です。
この格差を人類が許容し続けることができるとは思えません。
といって、この現在進行形中の第二次グローバリゼーションがいかなる形で終結するのかはわかりません。
歴史から学ぶことができるのは、第ゼロ次も第一次もグローバリゼーションは経済危機を伴う地政学的危機によって終焉している点です。
第ゼロ次グローバリゼーションは米仏革命とナポレオン戦争で終結し、第一次は世界恐慌と二度の世界対戦で終結しています。
断っておきますが、私はべつにそれが良いと言っているわけでも、それが悪いと言っているわけではありません。
ただ「そういう事実があった」と言っているだけです。
では、現在進行形の第二次グローバリゼーションはどうでしょうか。
2008年にはリーマン・ショックがあり、2016年には英国がEU離脱し、トランプ米大統領が出現したこともあってグローバリズム体制が一瞬揺らぎはしたものの土俵際で持ちこたえるようにして未だ続いています。
因みに、英国につづいて今度はポーランドがEUからの離脱を主張しています。
ユーロ・グローバリズムが崩壊に向かっているのは確かであり、今回のコロナパンデミックが各国経済に大きなダメージをもたらしたことも事実です。
といって、コロナパンデミックがグローバリゼーションに終止符を打つ決定打になるとも思えません。
やはり大規模な地政学的脅威が顕著にならないかぎり「完全なる終結」には至らないのではないでしょうか。
もちろん大規模な地政学的脅威を望んでいるわけではありませんが、昨今、各地域で地政学的な脅威が高まりつつあることは確かです。
例えば東アジアの軍事情勢をみると、米国の退潮と中国の台頭は我が国の地政学的脅威を着実に高めています。
なのに、軍事予算の伸び率を日中で比較すると、この10年間で我が国は彼の国に大きな差をつけられてしまいました。
もはやその差を埋めることは到底不可能な状況です。
ですが、それでもなお、来たる危機に備え我が国は防衛力を整備強化しなければなりません。
私は、少なくともGDP2〜3%の防衛投資が必要だと考えます。
ポスト・グローバリゼーションを見据えて地球儀を俯瞰し、可能な限り国家経済の自己完結力(アウタルキー)を強化しなければならない時代(とき)です。