新しい資本主義に、はやくも危険信号!

新しい資本主義に、はやくも危険信号!

岸田総理の肝いりで設置された『新しい資本主義実現会議』の第1回目となる会合がきのう開催されました。

会議の本部構成員は、内閣総理大臣(本部長)、官房長官(副本部長)、所管大臣(副本部長)、そしてその他の全ての国務大臣たちですが、例によってまた「有識者」とされる民間人たちが構成員として名を連ねています。

【新しい資本主義実現会議 有識者構成員】
翁 百合(株式会社日本総合研究所理事長)
川邊 健太郎(Zホールディングス株式会社代表取締役社長)
櫻田 謙悟(経済同友会代表幹事)
澤田 拓子(塩野義製薬株式会社取締役副社長兼ヘルスケア戦略本部長)
渋澤 健(シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役)
諏訪 貴子(ダイヤ精機株式会社代表取締役社長)
十倉 雅和(日本経済団体連合会会長)
冨山 和彦(株式会社経営共創基盤グループ会長)
平野 未来(株式会社シナモン代表取締役社長CEO)
松尾 豊(東京大学大学院工学系研究科教授)
三村 明夫(日本商工会議所会頭)
村上 由美子(MPower Partners GP, Limited. ゼネラル・パートナー)
米良 はるか(READYFOR株式会社代表取締役CEO)
柳川 範之(東京大学大学院経済学研究科教授)
芳野 友子(日本労働組合総連合会会長)

竹中某、アトキンソン某の名前が無いからいいってもんじゃない。

内閣は変わっても、まだ有識者政治は継続されるのでしょうか。

さて、昨日の第1回会議では、まず当該会議体が目標とするところの「論点」が確認されたようです。

驚いたことに、なんと論点は次の2つとのこと。(新しい資本主義実現会議・第1回資料より)

①我が国が目指していく新しい資本主義の姿は如何にあるべきか!

②諸課題の解決に向け、官民それぞれが役割を果たす中での協力の在り方とは何か!

「えっ…」

今さら「新しい資本主義の姿」を当該会議で議論していくんですか?

国防や災害等の安全保障上の脅威のほか、デフレ、消費税増税、コロナ禍、国内外の不確実性の高まりが我が国家と国民に襲いかかっている今、四の五の論じている暇などありません。

これまで行われてきた新自由主義(新古典派経済学)に基づく「株主資本主義」が間違いであったことはもはや明白であり、求められるのは「公益資本主義」です。(株主資本主義と公益資本主義とでは、主たるステークホルダーがまったく異なる)

公益資本主義は「新しい資本主義」などではないのですから、今さら何の議論が必要なのでしょうか。

即ち、答えは既に出ているはずです。

つくづく残念です。

これから議論するにしても、経済や資本主義を論じるにあたっては最低限の知識として「正しい貨幣観」が求められます。

今回選ばれた有識者構成員たちが、どのような貨幣観をもっているのか私には知る由がございません。

しかしながら経済について言えば、正しい貨幣観をもっていない人たちにどんなに時間をかけて議論させても、決して正しい解決策が導き出されることは無いでしょう。

そのことだけは確信します。

しかも昨日の会議では「我が国経済は既にデフレを脱却している」という前提に立って議論がはじまっています。

岸田内閣の「新しい資本主義」構想に、はやくも危険信号が点滅しています。