先週の金曜日、総務省から8月の『家計調査』が発表されました。
実質消費支出(二人以上世帯)は26万6638円で、物価変動の影響を除いた実質で前年比3.0%減少しました。
緊急事態宣言の対象地域拡大が大きく響いたものと推察します。
消費支出とは、簡単に言うと実収入から当てられる「生活費」あるいは「家計費」です。
その内訳は、食料費、光熱費、住居費、交通通信費、被服費、教育費、保健医療費、教養娯楽費などに分類されます。
上のグラフは実質消費支出指数の推移で、2020年を「100」とした場合の推移です。
ご覧のとおり、見事なほどの右肩下がりです。
指数が120を超えていた2001年代ごろにくらべ、昨今では95近くにまで減少しています。
要するに、20年前は120個のパンを買うことができたけれど、現在の実収入では95個のパンしか買うことができなくなった、ということを数値的に証明しているわけです。
即ち、相対的に生活水準が落ち込んでしまったということです。
例えば携帯電話がガラケーからスマホに変わるなどして、たしかに通信技術が発達したことにより便利さは向上したかもしれませんが、実質消費支出をみるかぎり、マクロ経済的にはまちがいなく日本国民は貧困化していることを意味しています。
その最大の主因は、歴代政権が放置してきた「デフレ経済」です。
そこに「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」にともなう制約経済が追い打ちをかけました。
ワクチン接種が進んだこともあってか、ようやく新規感染者数が減って宣言や措置が解除されました。
徐々に経済活動が再開されつつあります。
なんと10月10日現在で、日本のワクチン接種率が138.54%に達し、英国や米国やドイツを抜きました。
もしも我が国の接種開始が欧米並みに早ければ、もっとはやく経済活動を再開できたはずです。
なぜ接種開始が遅れたのか、ワクチン接種を可能にする法律(予防接種法改正案)を制定する際、国会議員たちが要らぬ附帯条件をつけたからです。
「ワクチンの安全性に不安があるから、海外の事例をみて日本でも治験を行え!」と。
これにより、我が国の接種開始は4〜5ヶ月も遅れてしまったのです。
英国を含めヨーロッパでは治験を行うことなく、各国の保険当局が即座にワクチンを認可しました。(ドイツの一部だけ治験を行った)
なぜなら、他人種国家の米国で既に治験が終わっていたからです。
日本だけがおっかなびっくり海外の事例を参考にしつつ、わざわざ時間をかけて治験を行いました。
このあたり、我が国が国際社会において今ひとつ信用を勝ち得ない理由の一つではないでしょうか。
それに、平時にならともかく有事の対応としては最悪です。
まちがいなく当時は、mRNAワクチンの接種に国民の多くが後ろ向きでした。
そうした「反ワクチン論」に阿ねた政治家たちが同調圧力に屈して「附帯決議」をつけたわけです。
その後、それまでワクチン接種に懐疑的だった人たちも、周囲の人たちが接種しはじめ、問題がなさそうなのを確認すると、今度は我も我もと先を急ぎ接種しはじめた。
なるほど、世界には国民性を象徴する様々なエスニックジョークがありますが、まさにその一つです。
その有名な一つを紹介します。
今まさに、様々な民族が乗った豪華客船が沈没しようとしています。
それぞれの乗客を海に飛び込ませなければならない。
では、どのように声をかければいいのか?
イギリス人には「こういうときにこそ紳士は海に飛び込むものです」と言う。
アメリカ人には「英雄は飛び込むものですよ」と言う。
ドイツ人には「飛び込むのがルールです」と言う。
フランス人には「決して海に飛び込まないで下さい」と言う。
イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」と言う。
日本人には何と言うべきか。
「みんな飛び込んでますよ…」