虚偽公文書作成でも罪なし。公務員にとって最幸なまち…川崎!

虚偽公文書作成でも罪なし。公務員にとって最幸なまち…川崎!

刑法156条に「虚偽公文書作成罪」という罪があります。

その条文には「公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しく図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前2条の例による」とあります。

実は川崎市には、この条文中にある“虚偽の文書”を堂々と作成した公務員がいます。

その虚偽公文書とは、令和3年3月31日付けで本市人事委員会局長名により私に提出されたものです。

文書名は「不利益処分についての審査請求事案に係る人事委員会の審査関係書類の不開示理由について」です。

話は少し遡りますが、市立看護短大に空出張がバレて停職3ヶ月の処分を受けた准教授がいます。

因みにその准教授の専門は生命倫理。

空出張をして停職3ヶ月の処分というのも民間感覚としては実に軽い処分だと思うのですが、こともあろうにこの准教授は「処分が重すぎる」として、本市の人事委員会に対して「処分についての不服」を申し立てたのです。

その後、公開審理等を経て、空出張准教授による申し立ては「棄却」という裁決が下されることになりました。

ご承知のとおり、市立看護短大は4年制の大学化にむけ、文科省に申請を出していた大切な時期でもありましたので、私は市議会議員として当該問題について詳しく把握しておく必要があると判断し、本市の情報公開条例に基づき本市人事委員会に対し「裁決書」の情報開示を求めました。

しかしながら、なぜか本市人事委員会は私の開示請求を拒否したのです。

そこで私は、本市人事委員会に対し「非開示にした法的根拠」を文書で求めたわけです。

その文書こそが、前述した令和3年3月31日付の「不利益処分についての審査請求事案に係る人事委員会の審査関係書類の不開示理由について」です。

当該文書には…
1 川崎市情報公開条例第8条第4号柱書
2 川崎市情報公開条例第8条第4号エ
3 川崎市情報公開条例第8条第1号
4 不利益処分についての審査請求に関する規則第63条
…というそれぞれのタイトルの下に当該条文らしきものが記載され、これが非開示にした根拠だ、と言う。

ところが、『川崎市情報公開条例』のどこを探しても、当該文書に記載された条文らしきものが見当たらないのです。

よくよく調べてみると、当該文書に記載されている条文など存在しなかったのです。

私は令和3年6月定例会(一般質問)で本市人事委員会の魚津委員長に対してこのこと(条文が見当たらないこと)について確認をとりました。

魚津委員長はその議会答弁で「ご回答差し上げた理由に、これと同じ内容の法令の規定が存在するかのような記載をいたしました…」と述べられ、記載されているのは事実ではないことをお認めになられたのです。

要するに、非開示にしなければならない法的根拠など無かったのです。

つまり本市人事委員会は、文書作成者の個人的見解、もしくは個人的な条文解釈を、まるで「条文」そのものであるかのようにして文書を作成して私に提出したのです。

実に恐ろしいことです。

この6月定例会(一般質問)のやりとりの結果、これまで何の法的根拠もなく非開示とされてきた情報を開示することになりました。

むろん、過去に遡って、これまで非開示にしてきたものすべてを開示することになりました。

因みに魚津委員長は「的確な情報開示によって(公務員の)不祥事がなくなると思います」と答弁されていました。

こうして、本市人事委員会が頑なに非開示としてきた「裁決書」も開示されることとなったのですが、問題はそれからです。

文書作成者の個人的見解、もしくは個人的な条文解釈を、まるで「条文」そのものであるかのように文書を作成したものに対しての処分が、なんと「口頭注意」であったことが読売新聞でも報道されていました。

本来、役所の処分において「口頭注意」程度では報道にならないのが常識ですが、読売新聞さんがあえて報道されたのは「なんでそんなに軽い処分なの?」という問題提起をされたのではないかと推察します。

事実でないことを意図的に作成しているのですから立派な虚偽公文書作成だと思います。

そこで私は昨日行われた川崎市議会決算審査特別委員会で、再び魚津委員長に対して「なぜ虚偽文書作成で口頭注意なのか?」を質問しました。

実に驚くべき答弁が返ってきました。

「個人的な条文解釈とはいえ、それはこれまでの人事委員会の見解だから虚偽とは言えない」「例え虚偽であっても作成権者が作成したから問題はない」と言うのです。

でもそれって「今までも組織として万引してきたのだから万引とは言えない」「他人じゃなく本人が万引したのだから問題はない」と言っているに等しくないですか。

そもそも6月の議会で魚津委員長は自ら「ご回答差し上げた理由に、これと同じ内容の法令の規定が存在するかのような記載をいたしました…」とお認めになられ、だからこそそれまでは非開示だった「裁決書」を開示するに至ったのではないですか?

まさに「存在するかのような記載」を記載したことを虚偽記載と言うのではないですか?

繰り返します。

刑法156条は、公務員が虚偽の文書を作成したら虚偽公文書作成罪だ、と言っています。

そして本市の『市長事務部局における懲戒処分について(処分量定の標準)』によれば、本市職員が“虚偽の文書”を作成した場合には「免職」もしくは「停職」となっています。

なのに、なぜ「口頭注意」だけで無罪放免なのですか?

川崎市役所の職員の皆さん、よかったですね。

この役所では、職員の非違行為はすべて個人情報の対象とされ人事委員会が名前も非違行為の情報もすべて秘匿してくれます。

あまつさえ、虚偽の公文書を作成しても口頭注意で職歴に傷はつかない。

公務員にとって最幸なまち・・・川崎!