注目されていた横浜市長選挙が終わりました。
結果は、立憲民主党と共産党が推す山中候補が現職総理の推していた小此木候補に対し、なんと約18万票もの差をつける圧勝でした。
報道されているとおり、現職総理のお膝元での敗北は自民党総裁選や衆院解散に大きな政治的影響を与えます。
総選挙を控え、自民党所属の衆議院議員たちは「選挙に勝てる総裁」を熱望するため、自民党総裁選が混沌とするのは必至です。
当初、横浜市長選挙は抵投票率となって再選挙の可能性さえ指摘されていましたが、上記のように国政に与える影響が大きかったことからむしろ前回よりも投票率が上がりました。
山中氏が当選されたことで、巷には「横浜市は再び革新市政(革新自治体)になった」という声もあります。
広辞苑(第7版)で「革新自治体」を調べてみますと次のようにあります。
「日本社会党(現・社民党)と共産党を中心とする革新勢力の支援を受けた首長をいただく自治体…」
今回、横浜市長に当選された山中さんは、ご承知のとおり立憲民主党と共産党を中心とする勢力に支援を受けた首長となります。
立憲民主党の支持母体は依然として連合とされているので、かつての社会党の流れを汲んでいるといっても過言ではないと思われますので、広辞苑定義では山中市政は革新市政になるのでしょう。
だとすれば、たしかに飛鳥田市政以来の革新市政の誕生ということになります。
むろん「革新市政」という言葉は一面的な解釈にすぎないので、問題は革新首長がおこなう行政の内容です。
例えば、川崎市では伊藤三郎市長と高橋清市長の30年間が革新市政でしたが、その内容は実に酷いものでした。
都市計画はほぼゼロ、福祉はインフラ整備型ではなく給付型が中心、伊藤市政に至っては既に他都市並に環境改善がなされていたにもかかわらず「川崎は公害の街だ」とやった。
ゆえに未だに川崎市の道路網は貧弱で、南武線はほぼ地上を走っているため市内に踏切だらけ。
未だに公害をネタにした市民活動を行政が支援するというシガラミが根強く残っています。
おかげで都市イメージは下がりつづけ、プロ野球もプロサッカーもみんな川崎市から出ていった。
富士通フロンターレが川崎市にいてくれるようになったのは、革新市政が終わり阿部市政になってからのことです。
因みに、数年前に川崎市が行った『他都市からみた川崎市の都市イメージ調査』では、未だに「公害のまち」がでてきます。
その意味で、全国的にみると川崎市は日本で最後の「革新自治体」だったのではないでしょうか。
なぜなら現在では、ほとんどすべての地方行政おいて革新か革新でないかは問題となっていません。
それよりも、すべての地方自治体が「地方財政健全化法」の強い縛りを受け、原則として緊縮財政になっていることが問題です。
加えて地方交付税交付金(総額)が減らされていることも、地方財政を圧迫する要因となっています。
なお、菅総理の肝煎りではじまった「ふるさと納税」は、自治体のPB黒字化行政に拍車をかけています。
例えば、今年度の川崎市はふるさと納税で82億円の財源流出です。
82億円の財源流出ということは、収支を均衡させるために82億円分の何らかの予算を削らなければならない、ということになります。
実に馬鹿げた制度です。
これを「川崎市の努力が足りないからだ」というお〇〇さんもいるが、ふるさと納税制度そのものが“限られたパイの奪い合い”であること自体に大きな欠陥があります。
こうした問題の根本を突き詰めていくと、やはり国のPB黒字化目標に行き着きます。
実は、自民党総裁選挙に名乗りをあげている高市早苗さんが「PB黒字化目標の凍結」を主張されています。
当然、財務省との全面衝突は避けられませんが、ぜひ頑張って頂きたい。