矛盾だらけの財政破綻論

矛盾だらけの財政破綻論

長期金利の指標となる国債金利(新発10年債金利)が低下しています。

4月7日の利回りは、前週末から0.040%低下して1.120%になりました。

金利が低下するということは、国債が買われているということです。(国債が売られると金利は上昇します)

因みに、どうして国債金利が長期金利の指標(基準)になっているのかというと、理由は以下のとおりです。

一般的に資金を貸し出す際には、貸す相手の信用度の違いによって金利が設定されます。

「ちゃんと返済してくれる…」という信用が高ければ高いほど金利は低く、信用が低ければ低いほど金利は高く、というように。

国債とは、国家という最も信用度の高い法人が発行する借用証書(国庫証券)ですので、これ以上に信用度の高い借り手は日本に存在しないため、国債利回りは日本で最も低いものと考えられています。

よって長期金利は国債の利回りを基準にして、それよりも高く設定されています。

さて、それにつけても面白いのは、財政破綻論を展開しているメディアらは、国債金利が下落するたびに「安全資産である国債が買われて金利が低下した…」と報じていることです。

言っていることはそのとおりなのですが、日本政府に財政破綻の可能性があるのであれば、その政府が発行する国債を彼らはどうして「安全資産」と呼ぶのでしょうか。

まったくの論理矛盾です。

おそらくは、解ったうえで嘘をついているか、まったくのお〇〇さんかのどちらかでしょう。

自民党の税調会長である宮沢洋一は「国債金利がやがて3%に上昇すると、それだけでも30兆円の利払いが発生するぅ〜」という例によって恐怖プロパガンダを貼っていますが、前述のとおり、4月7日の段階で国債金利は1.120%です。

なのに「利払いは、20兆円も減りました」とは絶対に言わない。

現実として、日本経済の先行きが不透明になればなるほどに安全資産である国債が買われるため金利は下がっています。

いったい、いつになったら3%まで上昇するのやら…

百歩譲って、仮に3%にまで上昇したとしよう。

普通に日銀が介入すれば金利は低下します。

これまでもYCC(イールド・カーブ・コントロール)でやってきたことです。

金利など、中央銀行の力でいくらでも外生的に調整できるものなのです。

しかも、YCCを行わずとも、すでに発行されている国債の52.7%は日銀という日本政府の子会社が保有していますので、仮に国債金利が3%に上昇したとしても、利払い費の半分以上は連結決済で実質的に返済不要です。

つまり、長期金利が3%で30兆円の利払い負担は明らかな嘘です。

というか、そもそも国債のほとんどは固定金利ですので、金利の変動と政府の利払い費はあまり関係がなく、新発物の国債金利は変動しますが、それが過去に発行された全ての国債に適用されることはありません。

以上のように、宮沢洋一ら財務省、及びそれに連なる破綻論者たちの主張(恐怖プロパガンダ)はことごとく嘘だらけなのでございます。