実質賃金、私ならこう上げる

実質賃金、私ならこう上げる

きのう、厚労省から2月の実質賃金(速報値)が発表されました。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことです。

仮に、どんなに賃金が上昇したとしても、それ以上に物価が上昇してしまえば実質賃金は下落です。

ご承知のとおり現在の日本経済は、コストプッシュ型インフレにより物価が上昇する一方、賃金の上昇がまったく追いついていない厳しい状況下にあります。

上のグラフのとおり、2月の実質賃金は前年同月比で1.2%減りました。

減少は2カ月連続で、物価上昇に賃金の伸びが追いつかない状況を抜け出せずにいます。

賞与や手当などを除いた「きまって支給する給与」に至っては、2022年の2月以来ずっとマイナスです。

たとえ物の値段が高くなっても、その分が日本国民の所得になっていれば実質賃金が上昇する可能性は十分にあるのですが、残念ながらコスト(物価)をプッシュしているのはエネルギー、資源、食料といった輸入品の価格が高止まりしているからです。

これでは、私たち日本国民が余分に払っているおカネは全部海外に流れていってしまうため、日本国民の賃金は上昇しません。

賃金下落下におけるインフレ状況をスタグフレーションとも呼びますが、実質的な賃金が激しく下落していくため、ある意味「デフレ」よりもさらにたちが悪い現象です。

加えて昨年末あたりからは、長きにわたるデフレにより供給能力が毀損されてきたため、いよいよサプライロス型インフレにも突入しています。

これを克服することができなければ、我が国はまちがいなく発展途上国となります。

さて、国民を豊かにすることが経世済民であるのなら、実質賃金を上昇させることこそ政府の仕事です。

実質賃金は、「生産性」「労働分配率」「消費税」「輸入物価」によって決定します。

ならば、政府が行うべき具体的政策は以下のとおりです。

まず、政府は計画的に財政支出を拡大し需要を創出せよ。

財源は国債発行でいい。

そうすることで、企業の生産性向上のための投資を誘引することが可能です。

次いで、株主資本主義を見直し(逆構造改革の推進)、高度経済成長期のように企業が労働分配率を引き上げる環境に戻せ。

企業は社会の公器である、という「公益資本主義」に戻せばいいだけの話です。

そして消費税を廃止せよ。

そうすれば、物価を実質的に引き下げることができます。

と同時に、社会保険料を減免すれば実質の可処分所得を増やすことも可能です。

最後に、主だった輸入品に対する政府の助成も忘れるな。

もしもこれらの政策を具現化したら、我が国の実質賃金は着実に上昇します。

むろん、自公政権が続くかぎり絶対に不可能でしょうけど。