カラ出張先生の生命倫理

カラ出張先生の生命倫理

首都圏の一角をなす川崎市は、とりわけ高齢化スピードの早い地域です。

日本全体の高齢化比率(65歳以上の人口比率)が高まっているのはよく知られているところですが、実は都市部の自治体ほどそのスピードは早い。

なかでも川崎市北部は特に早い。

当然のことながら、地域医療に責任をもつ川崎市としては医師や看護師等のスタッフを確保するなど、本市医療圏の医療需要の高まりに備えなければなりません。

その一環として本市は、これまで短期大学であった市立の看護大学を4年制にリニューアルし、看護の現場で指導的な役割を果たすこのとできる人材を育てるために大学院をも創設しました。

新しく生まれ変わった川崎市立看護大学や大学院を卒業された看護師の皆さんに、できるだけ市内の医療機関に就職して頂くことで、高齢化スピードの高まりとその医療需要に備えるという戦略です。

先日の日曜日(3月30日)には大学院の内覧会が開かれ、いよいよ今年度から開学します。

こうしたせっかくの華々しくも嬉しいニュースに、ひとり泥を塗っている男がいます。

その男とは、当大学が4年制に移行する前の市立看護短期大学時代に生命倫理を教えていた元教員です。

生命倫理を教えていたものの、この男には社会人としての倫理は乏しかった。

この男、カラ出張がバレて大学から停職3ヶ月の処分を受けたのですが、その処分を不服としてなんと大学(川崎市)を相手取って裁判を起こしたのです。

一般的な感覚からすると、クビ(懲戒免職)にならず停職3ヶ月というだけでも十分に甘い処分だと思うのですが、生命倫理的は重いらしい。

この元教員の名前は、岩倉孝明(以下、岩倉先生)といいます。

私が傍聴した人事委員会の不服審査の際、既に名前が明らかにされていますので、当該ブログにおいても実名を公表しても差し支えないでしょう。

因みに2022年3月の川崎市議会でも、私の質問に答えるかたちで所管局長が彼の実名を明らかにしています。

事件の経過は以下のとおりです。

岩倉先生はまず、2017年4月に自らの銀行口座に45万円の研究費の前払い(役所では概算払いと呼ぶ)を受けました。

その後、2回にわたって九州で開催された学会への出張申請を書面で行い、学会終了後、この出張に行ったことの復命報告書(これも虚偽)を提出しています。

要するに、すでに取得している研究費から支払った旨の報告なのでしょうが、その後、大学による旅券や宿泊先の調査などから、この2件の出張がカラ出張であることが判明したのです。

そのうち一つは、出張申請を行ったすぐ後に学会事務局に「参加を取りやめる…」旨の連絡をしており、もう一つの出張は、その出張先の学会が終了してから既に半年以上も経っているにも関わらず、学会主催者に参加費用を送りつけて参加証の交付を求めるなど、悪質な隠蔽工作まで行っていたことが明らかになっています。

これらの確固たる証拠、及び従来からの勤務態度の素行の悪さなどもあって、大学側はカラ出張の疑いが発覚してのち一年近くの調査期間を経て、2019年3月に停職3か月の処分を下したわけです。

しかし生命倫理の強さから岩倉先生は、こんなことでへこたれるような男ではなかった。

処分が下ったのちの20219年6月、先生は川崎市の人事委員会に対し、処分を不服とする申立てを行いました。

平素から悪徳公務員に優しい川崎市人事委員会をもってしても、さすがに却下。

それでも先生はへこたれない。

2021年9月、今度は横浜地裁に処分取消訴訟を起こしたのです。

当然のことながら、先生の生命倫理を理解してくれる裁判官はいなかった。

地裁で勝てずとも高裁へ、高裁で勝てずとも最高裁へと先生の生命倫理はますます高まっていったのですが、ことし3月、最高裁からは「不受理」として退けられ、結審に至っています。

最高裁の不受理によって高裁判決が確定したわけですが、高裁では以下のように岩倉先生の悪質性が断罪されています。

「本件処分の処分事由は、両旅行について実施していないのに実施した旨上司に虚偽の報告をした事実にとどまらず、両旅行を実施していない事実の隠ぺいを図り、他大学の関係者に対し、隠ぺい工作の隠ぺいを図った行為や、服務規程違反を繰り返し、注意を受けても、これを受け入れることなく、更に繰り返したという事実を含むから、控訴人指摘の事案と比して必ずしも軽微なものとはいえず、本件処分が均衡を欠いているとは評価できない」(東京高裁判決文抜粋)

人事委員会への不服申し立てから6年に及ぶ裁判は、4年制化や大学院整備を進める大学にとって様々な面で極めて重い負担となったことでしょう。

それでも唯一の救いは、新らしく生まれ変わった市立看護大学に当該教員をそのまま移行させなかったことです。

ただ、これだけの御仁が講義する「生命倫理」とはいかなるものか、一度は受けてみたかった。