歴史上、ヨーロッパは移民によって二度滅ぶことになりそうです。
一度目は、むろん古代ローマ帝国。
帝国時代のローマ軍は、もともとローマ市民でしたが、長い平和と都市生活での安寧にどっぷり浸ってしまったローマ市民は「国を守るのは自分たちである」という国防への義務感や戦う気概を喪失し、帝国末期のローマ軍は外国人傭兵と化していました。
外国人傭兵というのは、北方のゲルマン民族です。
「兵隊はおカネで…しかも外国人を雇えばいい」となったら国はおしまいです。
やがて、遊牧民フン族に負われたゲルマン民族がローマ帝国内になだれ込んでくることになるのですが、なだれ込んでくるゲルマン民族(不法移民)を傭兵であるゲルマン民族が追い払うという構図になります。
ところが、傭兵は所詮傭兵です。
ローマ帝国に対する愛国心の欠片も持ち合わせていないので(外国人なのだから当然です)その戦意は低く、次々に国境を突破されることになります。
結局、不法移民の流入に耐えきれず、ローマ帝国は崩壊したのです。
これが一度目。
二度目は、現在のヨーロッパです。
現在のヨーロッパの場合は、ヨーロッパ統合(EU統合)と難民の問題があります。
EU統合は、WW1、WW2の苦い経験から、ヨーロッパで再び大戦争が起きないように「国境線を取っ払いましょう」という美しいお花畑的な理想から生まれました。
そして、EU加盟国によって締結されているシェンゲン協定により、域内ではパスポートを持つこと無く自由に国境を越えられるようになっています。
なお、同じくダブリン協定によれば、難民が最初にEUに入国した国が難民認定審査を行うことになっており、加盟国の人口、GDP、失業率などによって難民を振り分けるのですが、受け入れを拒否することはできません。
拒否すれば、難民一人につき2万ユーロ(日本円で300万円以上)を基金に支払うことになっています。
よってEUは事実上、難民を拒むことはできないのでございます。
結果、どうなったか?
ダブリン協定とシェンゲン協定を逆手にとって、北アフリカや中東から「難民」という名の移民がEU域内に大量に流入しています。
とりわけ、シリアで内戦がはじまって以来、シリアからの難民が増えたようですが、なぜか北アフリカ方面からもシリア難民が来る。
ご承知のとおり、世界のほとんどの国が難民条約を結んでいますので、難民と認定されれば必ず保護されます。
そのため、シリア内戦とは無関係なアルジェリア人、チェニジア人、あるいはアフガニスタン人であっても、みんな口を揃えて「私はシリア難民です」と言うらしい。
首尾よくEU域内に潜り込んだ自称「難民」たちは、南欧よりも豊かで移民に寛容な、例えばドイツやスウェーデンを目指すらしい。
結果、ドイツやスウェーデンで何が起きているか詳しく述べることはまた改めますが、ドイツの首相がキリスト教民主同盟のアンゲラ・メルケルであった時、彼女は「すべての移民を受け入れる」と宣言してまさに難民たちの救世主となったのは周知のとおりです。
その直後、怒涛のごとく大勢の難民がドイツに押し寄せたわけですが、その数なんと150万人。
ほぼ川崎市と同じ人口です。
そんなドイツでは2015年の大晦日(12月31日)、ケルン中央駅と駅前広場で悲劇の事件が発生したのをご存知でしょうか?
実に酷い事件だったのですが、ドイツのメディアはまともに報道しませんでした。
日本においても罪を犯した外国人への批判が憚れる風潮がありますが、ドイツではナチスの歴史もあって尚更のことらしい。
否、EU全体がそうなのでしょう。
とはいえ「明らかな犯罪者を批判するに、自国も外国もあるまい…」などと言えば、たちまち「極右」呼ばわりされてしまうのが昨今です。
しかしながら、そのドイツではメディアから「極右」呼ばわりされている「AfD」(ドイツのための選択肢)という政党が、今回の総選挙でまた躍進しました。
これって、ドイツ国民の多くが急に「極右」になったということなのでしょうか。
そんなはずはあるまい!
地獄への道は、美しい石塊で敷き詰められています。