きのう(4月17日)、日米首脳会談が行われました。
会談後に開かれた共同記者会見によると、安全保障(台頭する中国への対処方針)、新型コロナウイルス対策、気候変動、経済協力など幅広い分野で意見が交わされたようです。
今回の首脳会談で最も興味深かったのは、日米両政府が「積極財政での協調」が確認されたことです。
言わでもがな、今や中国は日米両国にとって最大の地政学リスクです。
その中国が既にコロナ禍を克服しつつあり、経済回復で先行している現実を踏まえ、日米両国が財政面と経済面で歩調を合わせ対抗することの重要性が確認されたのだと推察します。
バイデン政権は『米国救済計画』で200兆円規模の経済対策を成立させており、更に第二弾の経済対策として250兆円規模のインフラ投資計画を含む『米国雇用プラン』や人的投資計画をも打ち出しています。
4月8日にも、米国のイエレン財務長官が「新型コロナウイルス危機に伴う世界経済の恒久的な乖離リスクを警告し、主要国が大幅な財政出動を行うべきだ」という考えを示しています。
因みに、これまで世界各国に「緊縮財政」を呼びかけていたIMF(国際通貨基金)でさえ、ゲオルギエワ専務理事が各国に「積極財政」を求めている時代です。
さぁ、菅総理………米国様と積極財政で協調することを約束した以上は、速やかにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標を撤回し、インフラ投資を含め大規模な投資計画を内外に示すべきではないでしょうか。
昨年度(2020年度)はコロナ禍への対応もあって最終的に本予算と補正予算を合わせ120兆円程度の新規国債を発行することになりましたが、コロナ対応や経済的な救済策のみならず、我が国をデフレから脱却し成長軌道に乗せるためにはそんなんじゃ全然足りません。
むろん防衛費においても、中国との差が開いていくばかりです。
少なくとも今、コロナパンデミック及び世界的な長期停滞の危機を乗り越えるための国際協調として、各国が財政赤字を恐れず積極財政に転じていくことが求められています。
ユーロなどの共通通貨国や発展途上国などの例外はありますが、主権通貨酷である我が国はまちがいなく「カネを出せる国」の一つです。
前述のとおり、米国は赤字を恐れぬ積極財政によって内需を拡大しています。
それを例によって「財政規律がぁ〜」と言って頑なまでの「緊縮財政」で国内需要を低迷させている日本が、積極財政により拡大した米国の内需(GDP)を掠め取るような事態に至れば、これは明らかに「近隣窮乏化政策」であり国際協調を乱す行為です。
何度でも言います。
日本一国緊縮主義は通用しない。
我が国が世界に恥をさらすことだけは避けてほしい。