きのうブログの続きですが、日米首脳会談において「両政府は積極財政で協調すること」が確認されました。
菅総理が「積極財政」の意味をきちんと理解されているのか不安になりますが、それにつけても米国政府の積極性は凄まじい。
ご承知のとおり、バイデン・プランの第一弾となる『米国救済計画』で既に約1.9兆ドル(約200兆円)の対策が決定されています。
中身をみると、大人・子供一人あたり1400ドルを支給する直接給付のほか、失業手当、中小企業支援、労働者支援、ワクチンの研究・開発・流通管理強化、地方政府支援、医療保険の拡充、教育機関子育支援サービスへの補助金、フードスタンプの拡充などなど、実にバラエティに富んでいます。
とはえ、これらはあくまでもコロナ対策に過ぎません。
バイデン・プランはポストコロナ時代を見据え、コロナ不況で毀損しつづけた国内供給能力を引き上げ、米国経済の成長力そのものを取り戻すための対策を用意しています。
それが3月31日に発表された『米国雇用計画』です。
予算規模はなんと約2.3兆ドル(約240兆円)になります。(歳出期限は8年間)
雇用計画と言っても、例えば失業手当の拡充などではなく、インフラ・研究開発等への「投資」が中心です。
それに、なんと『米国雇用計画』とは別枠で人的なインフラ投資(約2兆ドル規模)も予定されています。
これらをすべて合計すると、円ベースで650兆円規模になります。
断っておきますが、トランプ前政権下の昨年(3〜12月)にも3.9兆円規模(約400兆円)の経済対策が既に発動されていますので、これらを合わせますと1000兆円を超えます。
これが米国の言う「積極財政」です。
主たる財源は、むろん国債発行です。
法人税率の引き上げなどの税制改正も同時に計画されていますが、政府財政はスペンディング・ファースト(歳出が先)です。
共和党や民主党内の保守派と言われる人たちの抵抗もあるでしょうから、バイデン政権の計画通りの規模にはならない可能性が大ですが、財政出動を伴う成長戦略の目的が「中国対策である」とうレトリックを使われれば、保守派と言われる議員たちもさすがに全面的な反対はしづらいはずです。
さて、我が日本はどうか。
昨年、コロナ対応で組まれた補正予算において発行された新規国債の総額は約62兆円ですが、たった62兆円でも「このままでは日本は破綻するぅ〜」だの「財政規律を取り戻さないと将来へのツケがぁ〜」だのと実に喧しい。
日本や米国などの主権通貨国にとっての財政制約は唯一「インフレ率」です。
日本のインフレ率は低インフレと言われる米国よりもさらに低い。
イエレン米国財務長官は米国を「歴史的な超低金利環境」と評して大規模な財政支出を正当化していますが、MMTという正しい貨幣観からすると実は長期金利の推移は財政制約とは何ら関わりがありまえん。
金利は外生的に調整可能な政策変数です。
なので「低金利の今こそおカネの借りどきだ」という考え方は国家財政には当てはまりません。
ただ「財政支出を拡大する」という結果さえ正しければ、この際なんでもいい。
イエレンさんが言う「歴史的な超低金利環境」の米国に比べると、日本の長期金利はさらに超々がつくほどの低金利です。
その意味で日本の金利は歴史を超えている!?
ぜひ日本の財務大臣も「歴史を超えた超々低金利環境」を理由に大規模な財政支出を拡大したらどうか…
何度でも言いますが、この際、財政支出の拡大という政策さえ正しければなんでもいい。