穀物の7割以上を外国に依存する国

穀物の7割以上を外国に依存する国

米国シカゴの穀物先物相場は、年初から騰勢を強めています。

とりわけ、トウモロコシ相場は13カ月ぶり、大豆相場は3カ月ぶりの高値を更新しています。

南米アルゼンチンの干ばつが影響しているらしい。

USDA(米農務省)は、トウモロコシの期末在庫見通しを7ヶ月連続で下方修正しています。

なぜトウモロコシの話しなんてしているんだ…と思われるかもしれませんが、わが国は毎年、米国様から1,000万トンのトウモロコシを輸入しています。

日本人としてはそんなにトウモロコシを消費している感覚はないでしょうけど、私たちが食べる国産の牛、豚、鶏が大量のトウモロコシ(配合飼料)を食べています。

例えば、200キロカロリーの牛肉を食べると、同時に3,850キロカロリーのトウモロコシを消費していることになります。

私たち人間どもの食生活は、穀物に多くを依存して成立しています。

一方、小麦についても、わが国は国内消費の9割を輸入に依存しており、そのうちの約4割(毎年、233万トン)は米国様から買っています。

小麦の国際市場をみますと、やはり値上げ圧力が高まっています。

例えば、ロシアの中央銀行によれば、EU(欧州連言)が採ったロシア産穀物輸送船への制裁措置、及びトルコの小麦輸入禁止措置が、2024年のロシアの穀物輸出に大きな影響を与えたようです。

ロシアは現在、ウクライナの4地域(ウクライナ領土の約20%)を実行支配し、これらの地域は2024年のロシアの穀物総収穫量の約5%(約1億3,000万トン)を占めています。

当然のことながら、こうした影響は小麦の需給を逼迫させることになります。

上のグラフのとおり、わが国の穀物自給率は28%という驚くべき低さで、穀物の7割以上を国際市場に委ねています。

穀物にしても食料にしても「自給率」とは、裏を返せば「外国による侵略率」と考えていい。

だとすれば、わが国は既に穀物については7割以上も侵略されている状態です。

残念ながら、今年もまた輸入食料の価格高騰に悩まされそうですが、これは決して一時的なことではないでしょう。

先日も申し上げましたとおり、もう既にわが国においては食料危機がはじまっていると認識すべきです。