ボロボロのインフラ

ボロボロのインフラ

この30年間にわたり、国・地方をあげて公共事業費を抑制してきたわが国のインフラはボロボロです。

その一つが上下水道管です。

埼玉県八潮市では、老朽化した下水道管の破損が原因とみられる大規模な道路陥没が発生しました。

陥没でできた穴に転落したトラックに70代の男性が取り残されていましたが、未だ救助に至っておらず、その安否はわかっていません。

八潮市のみならず、川崎市も他人様のことを言えず、ときおり陥没しておりますが、とりわけ関西でも上水管の老朽化が深刻化しています。

全国的にみても、耐用年数40年を超えている水道管の比率は、2008年には7.0%だったものが2020年には20.6%となっています。

12年間で約3倍に増えていますので、いずこの自治体も、いかに更新をしていないのかがわかります。

このように老朽化による陥没、崩落が跡を絶ちませんが、4年前の2021年、和歌山市で水道橋が崩落したときの映像は特に衝撃的でした。

あの崩落で、およそ6万世帯が断水したらしい。

以来、和歌山市は急ピッチで水道管の更新を進めており、その費用は10年間で約290億円を要するとのことです。

結果、今年度(2024年度)の和歌山市の水道事業会計は赤字に転落、来年度(2025年度)は運転資金が枯渇する見通しとなり、27年ぶりの水道料金の値上げ改定に踏み切り、ことし4月から17.8%も引き上げられるとのことです。

設備の更新に加え、物価高などの影響を受けて支出が嵩んでいることも値上げの理由です。

川崎市でも水道料金の値上げ改定が検討されています。

水道料金が上がると、例によって「値上げするなら、もっと役所の無駄遣いを減らせぇ〜」というルサンチマンが高まり、また公共事業が抑制される。

まことに悪循環です。

私は、上下水道はナショナルサービスであると思っておりますので、本来であれば、その整備費用は全て国持ちであるべきです。

そのための地方交付税交付金ではないのか。

今のように各自治体の独立採算で整備維持させても、人口が密集した都市部ならともかく、人口が少なく自主財源に乏しい地方では採算など取れるはずがない。

使った分の利用料金を取ることは仕方ないにしても、せめてインフラの整備・維持・更新に関わる費用については公共部門がもつべきです。

国が出さぬなら、自治体が借金してでもやらねばならない。

住民から徴収した利用料をもって、その全てを賄おうというのがそもそもの間違いです。

古代ローマ帝国を見習え。

ローマ帝国では属州民でさえ水道料金はただでした。

それでいて古代ローマ時代の水道橋の一部が今なお機能しているというから凄い。