厚生労働省によれば、去年1年間に生まれた子供の数(速報値)は、前年より4万1097人減って(率にして5.1%の減)、75万8,631人とのことです。
75万8,631人は統計開始以来、むろん過去最小となります。
因みに、この数字には外国人も含まれています。
厚労省の研究調査機関である『国立社会保障・人口問題研究所』が去年公表した予測によれば、わが国の出生数が76万人を下回るのは2035年と推計していたのですが、想定より10年以上も早く少子化が進行しています。
ところが、この期に及んでもなお、少子化対策として「子育て支援策」を訴えているお〇〇さんな議員たちが国・地方を問わず大勢います。
何度でも言いますが、現在のわが国においては、生まれる子供が減っている以上に結婚そのものが減っています。
その一方、結婚した人たちが子供を生む率、すなわち有配偶出生率は高まっています。
つまり、結婚できるぐらいおカネを持っている人たちの多くは子供を生んでおり、おカネに余裕のない人たちは子供を生むどころか、結婚さえできていないのが実状なのです。
よって、どんなに子育て支援策を強化したところで、結婚したくともできない若者にとっては、“子供を生むインセンティブ”にはつながりません。
もちろん、子育て支援は、それはそれでやったらいい。
と同時に、結婚(有配偶率)そのものを増やすための別の方策が必要なのでございます。
結論から言えば、結婚(有配偶率)が減っている最大の理由は、20代から30代にかけた結婚適齢期の男性の「非正規社員化」にあります。
就労形態別調査によると、男性正社員の場合の有配偶率は20代後半で約32%、30代前半で約60%であるのに対し、非正規雇用の場合は20代後半で約13%、30代前半で約23%に過ぎません。
よって社会全体として、非正規雇用をいかにして正規雇用に切り替えていくかが重要なポイントとなります。
すなわち、あの小泉内閣が行った「構造改革」とは真逆の政策が求められています。
そしてもう一つ、構造改革と並ぶ悪政が「緊縮財政」です。
例えば、親の介護を理由とする「介護離職」が社会問題化しているのは周知のとおりですが、介護の需要が高まっているにもかかわらず、わが国の政府は緊縮財政を正当化し、介護報酬を増やしてきませんでした。
もっと早い段階で介護報酬を手厚くしておけば、介護現場の人手不足は今よりももっと緩和され、介護離職を減らすことができたでしょう。
何もかも、悪循環です。
ときおり、川崎市民から「日本の人口が減少することは予め想定できていたのに、なぜ行政は対策を取れなかったのか?」という質問を頂きます。
その質問に対し、私は次のように答えています。
少子化を進行させる政策(構造改革、緊縮財政)を、多くの皆さんが支持されてきたからです。