特別自治市なんて言ってる場合じゃない

特別自治市なんて言ってる場合じゃない

お米の価格が上昇しています。

昨年11月の消費者物価指数によりますと、米類の前年同月比上昇率は、なんと63.6%となり、比較可能な1971年1月以降、最大の上昇率となりました。

一時期、スーパーやコンビニに行ってもお米が買えない状況を経験し、ここにきて「ようやくお米が買えるようになった…」と安心していたら、今度は大幅に値上げされた状況に驚きを隠せない人もいらっしゃることでしょう。

直近では、一俵あたり32,000円を超え、コンビニ等でも5キロで5,000円を超えています。

生活者はもちろん、お寿司屋などの飲食店も悲鳴を上げています。

メディアは、米価高騰の原因について「異常気象」だの「生産人口の減少」だのと言っていますが、そんなものはあくまでも短期的な要因であって想定内の事態に過ぎません。

長期的な根本要因は、お米農家の生産能力を弱体化させてきた政府の愚かな農業政策にこそ在ります。

耕作放棄地を解消するための政策も打たず、減反政策という愚策により生産能力を破壊し、主権国家としては当たり前となっている農家の所得補償や価格補償も行ってこなかった等々、お米農家を経営的に継続不能にしてきたのは日本政府(自民党政権)です。

ゆえに、「異常気象」は天災として避けられなかったとしても、「生産人口の減少」はまちがいなく避けることのできた人災(政策のミス)です。

帝国データバンクによれば、2024年の米作農家の倒産・廃業件数は過去最高を記録したとのことです。

日本の耕作放棄地問題の解消、あるいはお米の生産能力を維持するためには、政府がカネを出して農家に耕作してもらい、余剰になった農産物を外国に叩き売るほかありませんでした。

例えば米国は、農産物を「国際政治をコントロールするための一番安い武器」と位置づけて、官民一体となり外国市場におけるシェアを広げています。

これが、世界の現実です。

緊縮財政至上主義の日本の政治家たちには、そのような発想も戦略もまったくありません。

減反政策などは、政府がカネを使いたくないからこその典型的な価格調整政策です。

ここでも諸悪の根源が「緊縮財政」にあることがわかります。

一方、公的機関である川崎市などの地方自治体もまた、学校給食で毎日お米を食べさせるなどして、お米の国内生産力の維持に貢献するような努力をしていませんでした。

子供たちにとっても、グリホサート漬けの小麦を食べさせるよりもマシでしょう。

川崎市の場合、つい最近まで学校給食は月の半分ちかくはパン食でしたが、私が議会でグリホサートの問題を指摘したことで、近ごろはようやくご飯食の比率が高まりました。

そもそも公的機関が率先してお米を買わなくてどうする。

驚いたのは、わが国の中央銀行たる日銀です。

長引くお米の価格高騰の余波により、日銀本店の食堂に台湾米が採用されたとのことです。

公的機関である日銀が外国米を買ってどうすんだよ!

因みに、1月14日に決定した『食糧供給困難事態対策法』もふざけた法律です。

この法律が制定された表向きの理由は、感染症の流行や有事の発生に際し物価が高騰するなどして人々に食糧が行き渡らなくなったときに備え、政府が農家に対して食糧の生産を要求できるようにするというものです。

万が一の場合には「配給制度もはじめる」ともしています。

しかしながらこの法律は、農家や畜産業に食品をもっと作れと命令し、従わなければ罰則、もしくは罰金とし、さらには輸入を促進するために関税を下げるとしていますので、本当の目的は日本の農家を潰し、食糧利権を外資に売り渡すことにあるのではないでしょうか。

それに当該法律は、該当する穀物やお米農家だけではなく、野菜農家やお花農家の方々に対しても強制的に「カロリーの高い米穀物などを作れ」と命令するものです。

当たり前ですが、いったんその土で別の農作物を栽培してしまうと、以前の土に戻すことは困難です。

そもそもお米は、いきなり「作れ!」と言われてすぐに作れるものでもないでしょう。

減反政策により補助金と引き換えに供給能力を毀損させてきたツケが、種子法や種苗法を廃止してきたツケが、私たち国民の飢えとなって返ってくる日が迫っています。

川崎市長であれ、神奈川県知事であれ、全国の自治体の長はそれぞれ協力し合って「食糧危機宣言」を発し、お米を含む農作物の供給能力の拡大策を図るべきです。

それを国が財政的に措置せよ。

「特別自治市を…」なんて言っている場合ではない。